2014年1月12日日曜日

休題 その百二十五




 前に、此の世にオリジナルは無いと書いた。必ず、何かの影響は受けて居るのだと。其れに間違いは無いが、勿論あたしの発見では無く、受け売りなのだ。
 此処迄書けば、分かる人には分かるだろうけど、偉人の言葉すら受け売りだ。柔らかく言い換えれば、前人の影響を受けて居る。欧米ならば、ギリシャ、ローマの哲学者、etc。東洋ならば、釈迦か孔子、etcだろう。
 何だか、面倒な話の章みたくなっちまった。山本夏彦氏の話だ。彼ですら師の受け売りだと言って居る。
 二大山本と言われて居た。山本夏彦と山本七平の両氏で有る。二人とも今は亡き人だ。七平氏は極めて論理的に、日本人とは何か、を追及し続けた。夏彦氏は諧謔でくるんで、人間の本質を、鋭く抉った。
 夏彦氏は、自分を見てつくづく人間とは嫌なものだ、と思い至った由。決して夏彦氏が嫌な奴なのでは無いのは言う迄も無い。自分をとことん見詰めて、人の心を知ったの意味。
 鬼か蛇かと嫌われた、と本人は書いて居るが、フアンは多い。尤も、嫌う人間の方が遥かに多い、とは本人の弁だが、間違いなくそうだろう。それは相手の退路を断つと言う、兵法に反する行いの所為だと、ご本人も分かって居る。
 曰く、「銀行員は高利貸から人情を引いたら出来上がる。高利貸は借金のかたに布団を引っ剥がす痛みを知って居るが、銀行員はそれを知らない」。
 曰く、「職業に貴賤が無いと言うが嘘で有る。新聞記者(マスコミ関係者)は賤業だ。世の中に迎合し、売れれば良い」
 曰く、「嫌いな言葉は“話し合い”。そもそも理念が異なれば、どんなに話しても平行線で終わる」
 曰く、「言論の自由とは、皆が同じ事を言う自由だ。皆と異なる事を言えば、無視されるか迫害される。日露戦争の終結の時、不満を 煽るマスコミの中、徳富蘇峰の国民新聞だけがこれで充分だと書いた。日本の力が尽き果てたと知って居るのに、各新聞は援護どころか攻撃した。為に、国民新聞は焼き討ちされ、廃刊に追い込まれた」
 (引用はあたしの記憶に依るので、本人の文章とは異なる。主旨は伝えたつもりだ)
 等々、枚挙に暇が無い程、勘に触る人間が多いで有ろう事を書き続けた。もしも知らない人が居れば、絶対一読するべしです。読んだら怒るかも知れません。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

山本その1も、山本その2も、大好きです!良い文章を書いています!

kenzaburou さんのコメント...

わーい、矢張りご存じでしたね。
タイプは正反対なのですが、二人とも只者ではない、と昔から思って居ます。