2011年11月26日土曜日

バテ通し病は治らない? その四


 体調の所為も有ったのだろう(体調の所為だよ!)。Yは小松尾根の急登で苦しみ。雪を踏み抜き体勢が崩れると、倒れて仕舞う。
 息も普段より荒い。歩も進まない。平標が
近づく頃に限界を迎えた。登れなくなって仕舞ったのだ。
 其れ迄は呻き乍らも(本当に、うー、うー、
と呻いて歩いて居た)、ヨロヨロと進んで居たが、全く動けなくなった。哀れにもYは、唯呻くだけの存在と化した。
 こうなりゃ取る手は唯一つ、其処にテント
を張るだけ。丁度日白山への分岐のピークだった。私は勝手に其のピークを “呻き山”と命名した。今でもそう呼んで居る。
 Yは大好物の缶チューハイも飲みきれず、
喜んで私が手助けする事と相成る。夕食も食べたがらない。
 おー、やった、此れは絶対本物だ。あの食
いしん坊が食べたく無い、と言う。信じられない。Yもやっとバテると言う事を知ったのだろう。良かった、此れでやっと大人になった訳だ(え、違うって?)。
 バテ通し病と、唯バテて居る人を見分ける
のは難しい。お馴染みの大倉尾根では、其の両者が混在して賑やかだ。
 登る途中で立ち止り、茫然と未だ未だ続く
登りを見上げる。目には絶望の色が浮かんで居るかに思われる。凄く気の毒で有る。此の場合は、唯バテて居る人と判断出来る。私が彼方此方の山で陥って居るで有ろう行動其のものだ。とても人事とは思えない。
 バテ通し病患者も見た目は同じだが、休む
と元気なので、其れと察しがつく。尤も、人様の行動を克明に見るいわれは無いので、たまに気付くだけで有る。
 ん、見分ける方法が有った!ノーベル賞を
貰えるだろうか?
 唯バテた人は、確率的に山馴れて居ない人
が多い。其の根拠は?私の経験則!
 一方、バテ通し病の方は確信犯だ。そんな
世にも恐ろしい病を抱え乍ら、山が好きで山に通うのだ。だから、山馴れた服装、装備、動き。
(バテ通し病は治らない? その五へ続く)

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