2011年11月13日日曜日

柄でも無い事 その三十二


 三国志と言えば皆さん御存知に決まって居る。あたしは(も、と言っても良い位かな)好きで、色々読んだ。誰と誰のをだって?そんなの忘れた。
 一番面白かったのは、岩波の三国志演義、
文庫で十冊だが、割と薄いので、そうは嵩張らない。
 原文直訳なので、表現は荒く、細かい描写なぞ無い。人の心の襞なぞ全く表さない。其
の癖読んで居る者に、登場人物が実際に現れて来る感覚を与える。簡単な表現がかえって効果を上げて居るのだろう。多分、もう絶版になった筈だ。
 原文なので当然だが、孔明を神格化し過ぎて居るのと、劉備をすっかり善人にして居る
のが、一寸と気に食わない。でも、そう言う物語なのだから、仕方無い。
 赤壁の勝利は周ゆ(変換不能)の作戦が功を奏した訳だが、何とか無理して孔明の力と
して居る。それでも、一番面白い。
 次に面白いのは柴田錬三郎だ。文庫では前
半と後半に分かれており、前半は講談社で「英雄ここにあり」、後半は集英社で「英雄・生きるべきか死すべきか」、おのおの三冊ので計六冊、それも厚い。
 流石にストーリー造りの王者、巧くアレンジしつつも、しっかり其の世界と人物を描い
て居る。それに、孔明が死ぬと、後は端折ってさっさと終る物が大部分だが、柴田作品は、蜀の滅亡までを(比較的)丹念に描いて居るのは流石で有る。
 併し、孔明が死ぬと後は余り面白く無くなるのは不思議なもので、矢張り孔明がスター
なんですなあ。
 小説が読めなくなった、とは前に書いた。
しかし此れを書いていると、三国志なら読めそうな気がして来た。
 あたしが、誰の作品が良いの悪いのと、
柄でも無いですなあ。

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