2011年4月27日水曜日

山の報告です その十六



 十五の続きです。テント内がびしょびしょになった話だった。おまけに湯を沸かして居たカップ迄転がして、こうなりゃ濡れろ濡れろ、はっはっは。自棄になるのは止そう。
 やがて風がぴたっと止み、雪の当るサラサラと言う音に変わった。二十一時に表に出た時点で10
Cmは積もって居る。
 此れでトレースは完全に埋まった。明日もガスって居たら、下山は地図と磁石が頼りとなる。一寸と気が重い。
 偉く寒い夜を、ウトウトと過ごすと、朝となる。お、晴れだ、やったー!!
 積雪は、1
m位の雪の上に30Cm程だ。見通しが利くので一編に気楽になったあたし、良い年して、駄目だなあ。
 バッテリーはポケットで暖めておいて、カメラに装填、写真を撮り終わると又ポケットへ、お陰でカメラは生きて居ましたけど、あー、めんどうっちい!!

 さて、気楽に出発。幸いYの腿のつりも治り快調に下る。と、山が前に有る。おかしい、下るだけの筈だ。初めて地図と磁石で確認、方向を45度も違えて、別の尾根を下り、目前は大平山と判明。お粗末ですなあ。状況に依っては死活問題じゃんかさー。
 でも良いの。尾根を下れば結局17号線へ下れるのだから、距離は倍になるが、何、楽しい雪山漫歩さ。
 ってな御気楽で居たもんだから、何事にも好い加減、国道が近くなって雪も消え、赤マークが有る。何か書いて有るが読みもしない。此処を下れってか。下を向いた木の生える60度以上の斜面で、10
m程で雪となる。
私「後ろ向きで下るぞ」
Y「はい」
 慎重に下り始める。と、Yの気配が無い。
私「Y!」
 雪になる境の一寸と上にYが居る。随分下で有る。落ちたのだ、無言で。
私「大丈夫か、怪我は無いか!!」
Y「オーケー」
私「やけに速いじゃないか」
 安心して軽口も出る。彼方此方にストック、帽子、眼鏡が散らばって木に引っ掛かって居る。其れを回収しつつ下る。
 数箇所擦り傷は有ったが取り合えずは無事だ。足場が崩れた瞬間滑落、ザックに引かれてもんどりうって、大きな木の横に僅かに有った凹地にザックを下に叩きつけられたのだ。
 其処で止まらなければ、硬い急斜面の雪面を滑って、鉄の雪崩止めに激突だっただろう。そうなりゃ、お葬式か入院で有る。
 全くの判断ミスだ。下から見上げれば、遥かに安全に下れる鞍部が有る。あのマークには、此処を下るな、と書いて有ったのだろう。
 でも、無事だったのは何より。ぶん撒いた品物も皆回収出来て、失くし物も無い。湯沢で蕎麦とビールを楽しみ帰京。あたしのお粗末が事故とならずに、本当に良かったです。

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

上越の山々は、4月末でもまだまだ 深い雪の中なのですね。寒かったでしょう。初日のテントの中では、「マッチ売りの少女」か「フランダースの犬」の最後の場面の様相をみせていて、どうなるのか 心配でドキドキしました。無事に帰られて 良かったです。
見晴らしがよく晴れていても 雪がそんなに深いと、KENZABUROU さんでさえ方向を間違えるのですね。60度の雪の斜面で滑落、、、重いザックを背負っていたので ザックを下に滑って落ちたのが 良かったのでしょうか。ザックがなかったら、頭を先に打っていたら、雪から途中で溶けて岩になっていたら、後ろ向きで下りてなくて、前向きで顔から落ちていたら、、、と、いろいろ「もし」をつけて想像してみると 涼しくなれるかもしれませんね。

kenzaburou さんのコメント...

あたしだから間違えるのです、と言わざるを得なくなりました(涙)。

Yが無事だったのは、ほぼ奇跡です。仰る通り、最高の落ち方をした訳で、コヘルの蓋が歪んだだけで済みました。
ま、痣や擦り傷は有りますが、どうって事は無いのです。