2011年4月16日土曜日

下駄より地下足袋 その一


 地下足袋を履く仕事と問われれば、先ず第一に鳶職を思い浮かべる事だろう。
 Sが高校を卒業して、暫く鳶をやってた事
が有る。写真学校に入る前だ。Sは言う。
S「いや、気が荒くなっちゃってさ、上から
何か落ちて来りゃあ、足場を駆け登ってそいつをぶん殴るんだよ」
 あのなあ、Sよ、君は前からどちらかと言
うと、気は荒かった方じゃないのかい?気は強いが荒くはないって?そうかい、そうだったけかなあ……。
 山仕事の人達も地下足袋だ。皆さん年配者
だからだろうか。もしも若者が其の世界に入ったら、トレッキングシューズを履くのですかなあ。何だかピンと来ないけど。
 前述の通り、山仕事には若者が近づかない。
3K其のもの仕事だもんね。高い所の植林帯なら、仕事場に着くだけで一仕事だ。下手すると、軽い山登りよりも登らされる。で、其れから仕事を始めるのだから(!)、勘弁して下せえ、と逃げ散って仕舞うのも無理は無い。おまけに危なくて、無闇と汚れるのだ。此れで、何恥じる事無い立派な3K。
 私の場合、勘七沢で沢登りでの登山靴の不
利を思い知って、其れ以来地下足袋に草鞋を着けて沢に入る様になり、其のうちに尾根も地下足袋で歩く様になった、とは何処かで書いた。何処かとは何処かって?忘れた!
 でも、積雪期と縦走は別で有る。積雪期に
地下足袋で歩いてりゃあ足の指が落ちるだろうし(私とSの場合。除くN、K)、縦走は必然的に荷物が重くなるので、登山靴を履く事になる。何で?足の裏の負担が増して痛くなるから。
 地下足袋の欠点は足の裏の痛み。変な所を
登ったり下ったりするには、全然問題無い。ある程度の傾斜が有る登山道も、全く問題無い。足元がゴツゴツした岩でも何の問題も無い。角の立った岩屑も平気の平左さ。
 処がですよ、緩い下りの登山道と林道が思
いもよらない曲者で、石を踏むと痛い。とても痛い。
 そう考えると、加藤文太郎は凄い。銃走路
を馬鹿でかいキスリングを背負って地下足袋で、風の様に通り過ぎて行くのだそうだから、さぞや足の裏も丈夫だった事だろう。
 私の場合は、銃走路をやや大きな見っとも
無いザックを背負って、芋虫の這うが如くにヨロヨロと行くのだから、同じ人類だろうか、と疑いを持って仕舞う。多分、違う人類なのだろう。
 たまに妻と沢登りに行く事も有るので、此
の間、ワーショップで妻用の地下足袋を買った。寸法が違ったら役に立たないので気を付けて、サイズは間違わずに買って来たのだが、何と十二枚コハゼ(鳶用)で、勿論使用は可能だが、何たって履くのが面倒な事此の上も無い。両足で二十四枚もコハゼを止めるのだ。はっはっは、大変ですなあ。(自分のミスなのに、失礼)
(下駄より地下足袋 その二へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

「12枚こはぜ」とは すごいですね。ブーツみたいなものでしょう。くるぶしがよく保護されて あったかくて良いですね。地下足袋は 一度使ったら捨てるものですか?それとも2-3回は リサイクルするものですか。
加藤文太郎の時代の人たちは 現代人とちがって、足の裏も強かったのでしょうね。オージーのオットも、子ども時代はいつも裸足で生活していて、靴など学校に行く時しか履かせてもらえなかった と言っています。(いつの時代だ?)(オーストラリアって田舎だなー!)

kenzaburou さんのコメント...

はい、膝下迄来ます。文字通りブーツです。
あたしの場合、足袋は10回以上は使用します。
うーん、オーストラリアは、昭和初期って感じですね。それじゃあ皆さん、さぞや逞しい事でしょう!