ハーハー言い乍ら鹿島槍のピークに立ったが、残念、一瞬雲の方が早く、ガスのピークで有った。従って白一色、何も見えやしない。う、う、私がもう少し速ければ、白馬迄一望だったものを(涙)。
嘆いても仕方無いので下る。暫く下るとガスから出る。でも、北側はピークの向こうなので見えない。とても悲しい。
小屋の前迄戻った。急ぐ必要も無い。此の章の題名は「雪山の喫茶店」だから、題名に副って行動しよう。ん、因果関係が破れて居るぞ、ま、書いてる奴が雑な頭なんで、良いとして下さい。
雪の階段を下ってアイゼンを外し、小屋に入ってテーブルを前にした椅子に座る。バイト君が顔を出すので、コーヒーを注文する。するとコーヒーが運ばれて来る。客は私のみ。煙草をくゆらし、コーヒーをすする。当たり前の風景で有る。
処が全く当たり前じゃ無いのだ。場所は後立山稜線上の冷小屋、季節は春。
残念にも窓からは雪の壁しか見えないが、一歩外に出て見れば雪山のど真ん中なのだ。其処へ立ち寄って飲むコーヒー、何て素敵なんだろう!!
私が、誰かから其の話を聞いたとしよう。
私「良いなあ、俺もやりたいよー!」
絶対言うに決まりきった台詞だ。
贅沢?一寸と違う。うーん、矢張り“素敵”としか表現出来ない。素敵って、こんな場合の為の言葉かも知れない。
当時は素敵とは思わなかった。小屋が開いてて時間が有た、コーヒーでも飲むか、ってな調子で唯コーヒーを飲んで、アイゼンを着けて爺を越え、テントへ帰っただけの事なのだ。
今になって、堪らなく素敵な状況だと思うに到ったのは、もう簡単には飲めないコーヒーだったんだ、と気付いたからだろう。
やって出来ない事では無い。よし、やってやろうじゃないか、と決めるのは簡単なんだけど、雪の尾根を、こぶを越え越え登るのは、決して楽では無い。当時でも辛かったんだから、今ならどうなっちゃうんだろう?
日数を増やすしか無い。三日掛かった山なら四日掛ける。機会が有ったらやって見ましょう(本当けえ、逃げ腰じゃないのか?……まあね)。
後からシミジミ思うもの、唱の文句じゃ無いけど、若くて動けるうちは、どんな状況なのかも分からず、いや、気にせずに好き放題歩き回って居たって事ですなあ。
いけねえ、完全に爺さんの文章になっちまってるぜ。反省(ペコリ)。
何、行ける山へ行けば良いので、其処は其処の良さが有るに決まって居る。
とは言いつつも、再度訪れるかどうかは別にして、雪山の喫茶店でコーヒーを飲む経験をしておいて、本当に良かった。だって、滅多に出来ないですよ。
2 件のコメント:
雪山の喫茶店とは、冷ノ小屋のことだったんですね。3000m級の山々 後立山縦走で、爺が岳から鹿島槍山頂を終えてのコーヒーでは、美味しくないわけがないでしょう。本当に素敵なことですねー。そのころの春先の季節に 小屋が開いていて良かったですね。本当に、並みの人が体験できないことをやり、めったに観られないものを観てきた人って、贅沢な人です。うまらやし。
いやー、本当に良い思いをさせて貰って来ました。
でも、Doglover さんこそ、並みの人が体験できないことをやり、めったに観られないものを観てきた人じゃないですか!
コメントを投稿