で、肩に目出度くテントを張って、翌日は鹿島槍ピストンだ。前年は天候不順で追い返されたが、今年は行けそうだ、シメシメ。今年って何時?当然の質問です、二昔前の春だと思って下さい。
朝が来た。読み通りの晴。何の読みかってえと、夜半からやけに冷え込んでバリバリと凍りつくからだ。雲が無いので温度(?)が空に逃げて行くので、晴れる朝は冷え込む事になって居る。
テントから顔を出すと満天の星。わー、やった!!!
え、何をやったの?私は何もやって無いのは当然で、天気が良いのを喜んでんです。だって、やっと二回目に巡り会ったチャンスなんだから。
余計な説明をしよう。嫌だって?そうでしょうとも!
前の年か、其の前の年か忘れたけれども、同じルートを行って幕営し、結局天候に恵まれずにテントで丸一日暮らして、結局スゴスゴ下ったのだ。冷たい雨に打たれ乍ら硬い雪をを踏みつつ下ったのだが、思いの外意外と(馬から落ちて落馬して)悲しいのだ……。
良くしたもんで、そんな時には一つもテントなんざ有りゃあしねえ、間抜けな私のだけがポツンと有って、雨に打たれ、風に吹かれて居る訳だ。
で、此の年は他に二つテントが張って有った。皆さん確りと天候を読んで居ますなあ。私も一応読んでは居たのだが、何処かに「何とかならあな」と言う気持ちが有ったのだろう。は、そんな気持ちは無い。薬にしたくとも無い。
大慌てで食事を済ます。前述だが快晴の朝は心がせく。くわえ煙草で準備を進める。ボヤボヤなんざあしてられない。たって勝負は、晴れて居るうちなんだから。
二つのテントの諸君は、未だ準備中の様だがこっちは単独の強み、身軽が売りなのでトップに飛び出る。昔々だから、爺には簡単に立てる。今なら此れだけで一苦労、二十年とは、文字通り世の中を変える長さなんです。あっと言う間なんだけね。
振り向けば、針の木から延々と続く主稜線、槍が頭を出し其の後ろには真っ白な穂高。右に眼を転ずれば、薬師から立山、剣。そして進行方向には秀麗な鹿島槍。贅沢な環境此の上無しなのだ。唯、一寸と霞んで居るのが気掛かりだ。
ゆっくりとはしてられない。天気は下り坂、目的地は鹿島槍なのだ。冷に一気に下る。勿論今なら、ノロノロと下る事になる。
お、小屋が開いて居る、流石五月の連休だ。小屋は半分雪に埋まって居るので、玄関周りを掘り出して、雪の階段で下るようになって居た。尤もあたりには人影なぞ無かったが、泊り客はとっくにお出掛けなのだろう。
横目で小屋を見乍ら歩を進める。変な雲が湧いて来たのだ。山の天気は変わり易い、雲と競走になっちまった。
(雪山の喫茶店 その六へ続く)
2010年11月14日日曜日
雪山の喫茶店 その五
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2 件のコメント:
5月の雪の後立山連峰は そんなに大変なのですね。雪 雪 雪、、、でも後ろに 美しい針ノ木岳を見ながら、鹿島槍を目指して槍が見え、穂高が見え、右に立山連峰に剣が真近く見えるって すごい! ぜいたく!最高じゃないですか!!! 写真、よく撮られましたね。この角度じゃ、ゆっくり構図を考えて写真に凝っている余裕がなかったでしょう。
最高なんです!!
剣は直ぐ其処です(左ですけど)。
写真を撮って無いのは、光線がベタなので、魅力が無かったのでしょう。
私が写真に拘りが有れば、朝、爺の頂上で剣を狙ったでしょう。
センスの無い奴は仕方無いですなあ、はっはっはっは。
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