2024年4月7日日曜日

山の報告です その二百九


  二つ目のピークを越え下る。ガスは濃い。三つ目のピークの平標へ登る時に考えた。平標に登ってもガスのみ。ここ迄も時間が余分に掛かっている。だったら平標を諦めて引き返した方が下山も余裕があって良いのでは。よし、そうしよう。向きを変えて登り返し、二つ目のピークで一瞬でも晴れないかと一服して待つが駄目。下山に掛かる。ラベルは平標Ⅱ”だけど”平標手前”が正しいのです。

 微かな踏み跡が頼りだが、時々雪で消える。完全に踏み跡を失う。先が見通せればどおって事ないのだが、ガスでは下手に下れない。登り返して踏み跡が確認できる地点に戻る。その後ホワイトアウトが襲って来た。微かな足跡なんか全く見えなくなる。自分の靴だって白くぼやけるのだ。直ぐに普通のガスに戻ったから良いものの、続いたら厄介な事になる。動けないんだから。

 一つ目のピークを下り出すとどんどん登って来た。暗いうちから登った日帰りの諸君だ。皆さん若い。口々に「生憎な天気ですね、予報では晴れだったのに」と残念そうだ。そうでしょうとも。松手山迄に二十人以上と擦れ違っただろう。お陰でトレースは確りして、ルートの心配はなくなった。

 年配の登山者(あたしよりは若い)が「どこ迄行きました」と聞く。一寸と胸が痛むが「ガスなので平標の手前で引き返しました」と答える。かっこ悪いですよ(涙)。鉄塔迄三時間四十五分掛けた奴がかっこがどうのって思う事自体がお笑いなんだけどねw。

 ゆっくり(それしかできない)下って行く。左上にテントを張り終えた若者が二人いた。あんな所に平らな所があったんだ。未だ午前中だが、彼等は今日はゆっくりするのだろう。ガスの山を見て登る気はしないもんね。

 と、ガスの中に鉄塔がある。何だ、鉄塔の所だったんだ。覚えておこう、次の為に。鉄塔の一寸と先にあたしのテントがありました。(続)

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