2024年4月4日木曜日

山の報告です その二百八

 

 

 いつの間にか晴れ上がり、向かい側の山も姿を現した。空は晴れても心は闇だぜ、こんなにメロメロになるんじゃ、明日はどうなんだべえか。余計な心配は余計な事、明日になりゃあ分かるってさ。あ、入山日は三月二十九日です。

 末とは言え三月、寒い夜だった。眠れないのは常の如しです。三時前には目が覚めて、四時半に起きてコーヒーを沸かしていると、ザクザクとアイゼンの音、凍った雪を踏んで単独行者が登って行くのだ。未だ暗いのに、あたしと何たる違いだろう。

 装備を整えて出発。撤収が楽な様にパッキングは終えておく。アタックザックのみなのに歩みはノロい。マズいなあ、昨日とそう変わりないじゃんかさあ。

 前日と同じ微かな踏み跡と今朝のアイゼンの跡がある。それを追って松手山には着きました。ここで幕営する予定だったのに全くもう。絶対変だ。

 松手山からの見晴らしは良いのだが、平標には雲がへばり付いている。上の写真がそれ。雲がどいてくれれば良いが、下手すりゃガスどころかホワイトアウトである。

 松手山を一寸と下り、登りに掛かるとガスが湧いて来た。平標の天気予報では晴れだったのになあ。山の天気は女心です。

 春の平標は南面の雪は消え(風が強くて雪が積もりにくい)、長い階段が出ているのだが、今回は雪が深く一寸としか階段は出ていない。依って雪をゆっくりと登る。

 平標は三つ目のピークである。一つ目のピークで朝登って行った登山者が来た。四十歳位の男性だ。仙ノ倉迄行って来たが「ホワイトアウトになって、足の先も見えず冷や冷やしましたよ」との事。矢張りそうか。平標迄行けば上等だろう。歩みもノロいし。

 風が強くないのが救いである。力なく雪面を登る姿、人には見せられないですなあ。(続)

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