2023年11月17日金曜日

閑話 その四百二十九

 


 閑話の前々章で、三俣蓮華岳に登った二十代男性二人が「もう一泊する」との連絡を最後に行方不明になり、幕営装備があるのだからそのうちに下山するかも、と書いた。それから二日後位に一人は下山して来た。彼は「もう一人は野口五郎岳西面の沢沿いに幕営している」と報告したので、翌日ヘリでそのパートナーも救助された。救助員が着いた時には遭難者は震えが止まらない状況だったと言うから、一日遅れたらダメだったろう。二人共助かったのは大変目出度い。

 上の写真が野口五郎岳、人様の物を拝借しました(ペコリ)。

 連絡が途絶えたのは、あたしの読み通りスマホのバッテリー切れだった。そして地図もスマホに入っていた。駄目じゃんかさあ、スマホがパーになりゃ地図もパーってかよお。

 不明な点が多い遭難事件だったが、野口五郎迄行って何故沢に下ったが分からない。頂上直下には野口五郎小屋がある。十月は勿論営業してないが、冬季小屋に逃げ込める。地図がないので分からなかったのかな?

 最新装備が仇となった容(かたち)だが、最新装備のお陰で助かったとも言える。昭和四十年代迄だったら助からなかっただろう。テントが軽くて(これ、大きい要素ですぞ)雨風に強い。防寒具が確りしている。シェラフの保温性が高い。雨具が雨を通さない! 何のこっちゃ、と思うでしょう。あたしの若き日(あったのだ、昔から爺さんではない!)の雨具はポンチョだった。吹かれりゃびしょびしょ、他に雨を避ける物はなかったのだ。

 それと二十代の若さ。中高年パーティなら気の毒な事になっていたかも知れない。行動不能な一人をテントに残し、野口五郎に登り返してブナ立(ぶなたて)尾根を下って救助を求める、自分も疲れ切った遭難者なのに。若さ故なし得た事だ。あたしだったら登り返しただけで、もう参っちまう。

 助かるとは思っていたが、助かって良かった。地図をスマホに頼るのは危険ですぞ。

0 件のコメント: