2023年8月24日木曜日

閑話 その四百十八

 


 十七年程前の十月、六甲山で遭難があったと思いなさい。そうです、神戸の裏山「六甲下ろし」のあの六甲山です。1000m未満の山で、関東で言えば高尾山ってとこですか。

 登山者の遭難ではなく、山頂の施設で会社の仲間とバーべキューをした人だ。酔っぱらっての帰りにロープウエイの切符をなくし、止せば良いのに歩いて帰ると言って仲間と別れ、一人で下って行って行方不明。

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 どうやって道を間違えたんだ? きっと間違えようもない道があっただろうに? 酔っていたから仕方ないとしよう。道を間違えたと気付いても降り続けた。素人だし酔ってたから仕方ないとしよう。そして滑落し骨盤を骨折した。もう歩けない。携帯は壊れ、ペットボトルの水と焼き肉のタレしかなかった。

 休み明けに出社しないので会社の仲間が騒ぎ出し、実家から捜索願を出す。大勢が捜索したが発見できなかった。二十四日目に父親から発見されたと会社に連絡、遺体が発見されたと誰でも思う。ところが生きていたのだ!

 環境保護の人が偶然発見、ヘリで病院へ、体温は22℃、血液を出して温めて戻す療法で蘇生に成功、後遺症もなく全快したのは実に実にめでたい。

 本人は遭難二日目には意識を失ってしまった。理由は低体温症と考えられるそうだ。それから二十二日間飲まず食わずで生きていた。一晩や二晩の低体温症で人は死んで行くのに。

 考えられるのは唯一つ、冬眠状態になったと言う事。冬眠する哺乳類と冬眠に関しての同じDNAを人は持つと言う。そのスイッチが入ったのだろうか。他には学者にも説明がつかないらしいので、きっとそうだろう。唯、そのスイッチが入る人はマレって事だ。ヨーロッパにも似た事例があるそうだが、そのマレな人だったのだろう。

 マレな人、生還おめでとうございます!

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