2023年3月25日土曜日

山の報告です その二百四


  間抜けなあたしはYのセーターで多少息を吹き返し、ノロノロ登ったですよ。Yにはそのスピードで丁度良かったのだから、二人共OKって事でどうでしょう?矢張りダメ?

 驚異的なのはYの寒さに強さが尋常ではない事だ。真冬の丹沢で雪を踏み乍ら半袖シャツ一枚で湯気を吹いて登る男だが、雪の上越稜線で強い寒風に晒されても何でもない。ただ、エンジンが直ぐにヒートアップするのが難点だ。それに筋力の衰えも加わった。

 兎に角どうにか我々も平標の頂上に辿り着いた。十人以上の登山者がいる。小屋から来た諸君もいるのだろう。風邪は容赦なく吹き付けている。

 眼前は絶景なのだが手がかじかんでカメラの操作が思うに任さない。電池も作動しない。電池の入り口を叩いてみたら部品が飛んだ。それには電気回路が組み込まれているので、風の中で必死に直したです。バカちゃうかって思い乍ら、情けんなかあ。やっと撮った写真もシャッター速度が狂って白っぽくなっちまったです。上がそれ。

 思えば快晴、片端から良い写真が撮れただろうに、この時は写真なんてどうでも良いって感じだった。目的地仙ノ倉は目前なのに、とても行くどころではない。まあ、軽い低体温症は間違いなしでしょう。フラフラしてんだし、リュックのチャックも閉められずにYに閉めて貰う有様だ。Yも仙ノ倉へ行きたいとは全く思ってないので下山とする。

 勿体ない事をした。冬山装備を整えていさえすれば仙ノ倉に立てたのに。もうこんな機会は二度とないだろうになあ。己のバカを恨むしかないですなあ。(涙)

 ここで下山は惜しいと思ったかって?全く思わない。ただ風に揺すぶられているだけなの。早く脱出したいの一心だった。Yだって平気な顔をしているが風には参っているのだ。バカなあたしと寒さに強いYは下り始めたのです。(続)

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