2023年1月20日金曜日

休題 その四百六十一


  映画「アラビアのロレンス」、六十年前の作品だが何年経とうと名作である。勿論あたしも大好きだ。所が妻は好きではないらしい。随分前にDVDを借りて見たが、やれ目張りが濃いの何のと言うので、じゃあまともに見ようよと、先日見直した。

 第一次大戦時に、アラビアでアラブ人の反乱を指導しトルコ軍を追っ払った実在の人物を描いている。封切りは70mmの大画面、あたしも日比谷に見に行ったが、砂漠の圧倒的な迫力はテレビの画面では再現できませんなあ。それでもロレンスがマッチの火を吹き消すと、一面の朝焼けで真っ赤になるシーンは凄いの一言。大画面で見た時は息を飲んだもんね。

 砂漠をラウダや馬に乗ったベドウイン(砂漠の民且つ戦闘員)の部隊が進んで行くシーンや、遥か彼方から来る影がカゲロウで揺らぎ、段々とラクダに乗った人影になるなぞ、唸らされる場面のオンパレードと言っても良い位だ。

 妻も休憩迄は夢中で見ていた。三時間四十五分の長尺なので休憩があるの。ロレンスは情緒不安定な処を持つ。常人には決して思いつかない作戦を思いついて見事実行するその陰に、不安定な人格が潜む。思い上がりとなり、鬱状になり、躁状になる。決して常識人である筈はない。

 アラビアを開放すると、アラブの王子からはイギリス人に指導された開放、イギリス政府からはアラブの独立を目指す男、詰まりどっちからも邪魔な存在にされ任務から外される。空港に向かう車上のロレンスは追い抜くベドウインを立ち上がって見るが見知った顔はいない。又座るロレンスの車をオートバイが抜いて行く。これで終わり。

 妻は特にこの終わり方がお気に召さない様だった。「何なの、あれじゃあんまりよ」。その気持ちは良く分かるけど傷心のロレンスを表わすラストなのだ、あれで宜しい。

 改めて凄く良い映画だと認識しました。

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