2022年3月15日火曜日

閑話番外 その百三十二


  歳を取ると大体がそうらしいが、眠りが浅くなる。トロトロしてる時間が長くてどうでも良い夢を見続ける。時々は”悪夢”に悩まされる。若い頃は試験の夢だったが、今となっては流石にそれはない。

 明日芝居の幕が開くのに未だ全然仕上がってない、って感じだ。これは相当焦る。Yは幕が開くのにセリフを覚えてない夢を見て焦るそうだ。それだけ芝居の経験は強烈な印象を刻み込んでいるって事だろう。

 では山の夢を見るかってえと、見ないのだ。たまには山小屋に向かっていたり、麓に降りて来たりするが、おっとりとしたものだ。

 一人でどんどん行ってた頃は夢を見た。特に冬山から帰って来た夜は、眠ると冬山に戻ってしまったもんだ。もう帰って来たんだ歩かなくて良いんだから、と自分に言い聞かせて眠った。それは春山でもありましたなあ。

 あたしの冬山なんざミーハーな所なんで、人様のトレースを当てにしてるんだからそれ程の負荷はなかっただろうに、それなりに緊張を強いられていたのだろう。春山は上越中心だったので、他に登山者はいない状況も良くあった。矢張り緊張したんでしょう。

 ここ十年以上は冬山は赤岳のみ。小屋泊りでラクチンなの。登山者も多いし、危険を感じる事もルートに悩む事もない。春山はYと一緒に大名旅行、緊張なんてありゃしねえ。

 うーん、堕落したもんですなあ。登山者と名乗るには抵抗がある段階に突入しました。その癖、普通の道を歩いていて障害物があり、這い上るのに偉く苦労する夢を見たりする。ガレザレを這い上る苦労と緊張がどこかに刻まれているのだろう。

 多くの場合簀子(すのこ)状のとこを登るのだが、バキバキ折れて危なくて仕様がないのだ。ガレザレで必死に笹や根っこに縋っている感じそのものだ。思えば長きにわたり実に変な山登りを続けて来たもんですなあw

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