2019年8月3日土曜日

閑話 その二百九十六



 大階段の一寸と下で若い女性に声を掛けられた。多分何処かで抜いたのだろう、こっちは短パンに地下足袋ってえ分かり易い恰好なので、あちらが覚えていた訳だ。これから大階段を登るその女性の前に、変な恰好の親父がもう頂上を踏んで現れたって事。
女性「わー速いですね、凄い!」
 自慢かって? 自慢って訳じゃないんだけど、へっへっへ、もう自慢のネタなんてありゃあしないんだから、ここんとこは大目に見てくだせえよ。
 未だ登って来る人は結構いる。日が長いから殆どが日帰りだろう。小屋泊まりらしいパーティもいる。翌日から又降る予報なのに、ご苦労な事である。え、あたしには言われたくないだろうって? まあそうだよね。台風が上陸するのに蛭へ登ったりしたんだから。
 堀山を越えてほぼ半分。下り飽き始める頃である。あたしはもう一下りして一本松の上のベンチで休むのが常だ。時計を見ると十二時十五分のバスに間に合いそうだ。但し多少急がねばならない。そこで例に依ってバカがバカの本領を発揮して急ぎ始めた。何をそんなに急ぐ必要があるのかねえ。我乍ら意味不明な反応なのだ。
 普通の登山道なら良いが、下に行くと石を埋め込んだ道が多い。普通に歩いても歩き辛い。其処を地下足袋でバンバン踏みつけるのだから、痛い。とても痛い。それでもバカは意味もなくひたすらに急ぐ。痛いのは足で、俺じゃない、ってこったろう。バカである。
 無意味な頑張りのお蔭で、十二時十分にバス停へ着いた。七時五分に出発したので五時間五分でピストンした訳だ。前回より時間を喰っているが、蒸したのと写真を撮っていた所為だろう。思いの外速かった。
 鶴巻温泉で途中下車、里湯で入浴するのはお決まりコースだ。土日は空いている。秦野市住民で六十五才以上は平日四百円で入浴できる。土日は一律千円なのだ。秦野の年寄りは絶対に来ませんなw

0 件のコメント: