2019年8月28日水曜日

閑話 その二百九十八



 沢に下る道標が撤去されていた。さあさあ源次郎沢ですよ、どうぞお試し下さい、と思われるのを嫌ったのかな。事故があったら大事だし、何で道標を立てたんだと責められる時代にもなったて事ですか。
 水量はたっぷりである。F1の水量に恐れをなして巻こうとしたが、適当な巻き口がないので(あるんだろうが見つけられず)釜にジャブジャブ入って流れの直ぐ横を登った。
 F2、F3とジャブジャブと登る。F4が困った。直登を試みたが流れが激しくて目が開けられない、従って登れない。尤もあの水圧には勝てなかっただろう。
 右手の岩を登った覚えがあるが、その時に頼った捨て綱は朽ち果てていた。それでも頑張れば良いのだろうが、多分四年の歳月を経ているので、その自信がないのだ(涙)。
 で、左から巻く事にした。前にも何度か巻いた滝だ、ここいらだろうと検討をつけて取り付いたのが大間違い。
 簡単そうに見えた土ザレが偉く手強い。全然足を支えてくれない。「Y、登山靴で蹴込んでくれ」「蹴込めない、底のブロックでやっと引っ掛かってるの」。行くしかないですなあ。岩が行く手を邪魔する。「Y、岩を左に回って来るんだ」。岩ったって、緑に苔むした全く頼りにならない奴なのだ。
 何とか土ザレを突破した。詰まらない所で、命懸け(ほんの少しオーバー、でも命懸けに近い)の這い登りをしたものだ。やっと小尾根に立つと踏み跡が有って川原へ降りている。踏み跡は先から来ている。詰まり本来の巻き道はもっと大巻きしていた訳だ。良くある余分な大苦労でした。
 川原に降りて考えた。此処に来る迄にYは何度かつっている。その上今の土ザレで尚も消耗した筈だ。小尾根に戻って登れば天神尾根に着く。Yの消耗度からしてそれが一番なのでは、と。(続)

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