2019年8月24日土曜日

閑話 その二百九十七



 最近、単独での沢登りは源次郎に何度か行ったきりだ。Yと一緒だと、一ノ沢ばかりで、沢らしい沢は数年前の道志のモチハギ沢(凄く短いんだけどね)が最後だろう。道志村で登った者がいないので、と情報を聞かれてあたしが説明してる間、出されたキュウリの漬物とモロキュウをYがバリバリ食べまくったと言うあれである。
 では、久し振りに沢をやろう、それも多少は沢らしい奴を、と話がまとまり、源次郎に入る事になった。戸沢出会い迄タクシーで入ってザックを置き、アタックザックで沢をやってテントを張って一泊と言うグータラ計画。テント場が空くであろうお盆が終わった直後の月火、つまり十九日、二十日に決めた。
 秦野で待ち合わせてタクシーに乗り込む。女性運転手は、戸沢出会いは一回だけ、それも団体さんで、タクシー七台を連ねて行ったきりだと言う。
 滝沢園迄来たら、台風十号の為通行止め、と看板がある。えー!此処迄じゃどうしようもないよ、せめて新茅荘迄行ってよ、と頼み込んで進んで貰ったが、彼女は違反になるかもとすっかりビビッて、石が跳ねて底に当たるし、せめて泉迄は行って欲しかったが、ずっと手前で降りる事になった。これは天災、まあ仕方ないですなあ。
 幕営具を背負って林道歩き、最後の登りに掛かるとYの腿内側がつった。暑いし蒸すし、林道歩きでも容赦なくやられるのだ。
 戸沢出会い手前は崩れた土砂が積もっていた。乗用車では通行不能だろう。軽トラやジムニーは通行している。小屋の車だったのだろう。従ってテント場は見事に空っぽ。静かな夜が過ごせてあたしらは良いが、小屋には大打撃だろう、掻き入れ時だってえのに。
 ザックを置いてアタックザックを背に歩き出す。越す流れも、やけに水量が多い。普段の三倍近い量だ。(続)

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