2018年2月3日土曜日

閑話 その二百五十一




 やっと塔に登り着いた。頂上の雪面は幾つかトレースが走っているだけで、殆どが降った侭だった。まあ、確かに登山者自体がそう多い訳でもないのだが。

 
 写真はその雪面です。
 表尾根には一人が向かったらしい足跡が有る。丹沢山方面には確りとトレースが有った。勿論大通りは尊仏山荘へ向かうトレースである。多くの登頂者は山荘で、暖かく昼食を摂るのだろう。
表でウロウロしてるのは、写真を撮りたい人間か、一寸と変わった御仁と思えば間違いなかろう。あたしもその御仁の仲間に入るのが、やや情けない処ですなあ。
 風が殆ど止んでくれたのが有り難い。これでピューピュー吹かれたら堪らない。膝迄の雪を掻きわけて彼方此方見て回る。
 大体写真を撮り終われば、即おさらばである。どうせロクな写真じゃないのだしぃ。それにのんびりするには寒過ぎる。とっとと下り始める。折角苦労して登って来たのにね。
 アイゼンが効くので下りは楽だ。直ぐ後ろに続いて来る登山者がいる。擦れ違う中年の男性が「早いですね」と声をかけて来る。前後して登って来た人だろう。皆さんバリッと決まった服装だが、あたしだけ簡単な格好で汚い古いリュックを背負っているので分かり易いのだろう。
 鍋割への分岐で身を避けて後続の登山者二人に先に行って貰う。鍋割には数人の歩いた足跡が有った。好き者達のトレースである。
 花立に登り返し木道の間の雪道を行くと正面から単独女性が来る。右の木道に上がって避けようとしたら彼女も同じ木道に登った。「あ、どうも」と双方笑い、あたしは又降りて道を譲る。
 花立小屋へは難無く降り着く。まだまだ登って来る。未だ午前中なのだ、当然である。一番のバスに乗れるとは極めて有利な話なのだ。町田に住んで良かった。(続)

0 件のコメント: