2017年7月3日月曜日

悪い事ばかりではなかった その一



   
 前に「夏の丹沢」のラベルで如何に夏の丹沢はひどいかを書いた。思えば、ひどい事ばかりに焦点を当てすぎたかも知れない。良い処も有るので、続編としよう。
 夏の丹沢は一年で一番人出が少ない、とは前に書いた。理由もクドクドと書き綴った。兎に角暑くて暑くて蒸されてどもならん、と言う訳なのだ。
 確かにそうだ。アプローチはモロにそんな感じである。汗はポタポタと落ちる。ズボンにもびっしょりと汗染み。おもらししたんでねえのけえ、と思われても不思議では無い。
 でもですよ、稜線に上がれば世界が変わるのだ。木陰に入ればすーっと涼しくなる。風でも吹けば天国だ。数年に一度の滅茶苦茶暑い日を除けばだけどね。
 其の滅茶苦茶暑い日は、木陰に入っても、どっへー暑いおー、と呻く事になる。此れは例外だと言っても宜しかろう。そんな日に登って来た身の不運を嘆くのみですなあ。
 登山とは、夏山こそが王道かと思われる。
 かっと照りつける日差しに、山も樹も陰影深くきざまれ、青い空には夏の雲が浮かび、場合に依っては入道雲となって湧き起こり、雷を伴った夕立となって降り注ぎ、雲海を楽しむ時も有り、雨の日でも行動可能で(決して嬉しい状況では無いけどね)、高い山ならお花畑や這松や雷鳥や残雪を愛でる。
 其の上ですよ、耳元を飛び回るブヨの羽音も懐かしい、となると、はっはー、夏山から始めたもんだで、景色から空気迄やけに懐かしいのだな、と気付かされる。

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