2017年7月22日土曜日

悪い事ばかりではなかった その四





 此の日は青ヶ岳山荘に泊まって、翌朝ヤタ沢尾根を下ったが、午前中のお仕事なので、暑くも何ともないもんねえ♪
 これが犬越路へ向かうとなると、条件次第ではひどい事になるとは前回書いた通りだ。でも、行きたくなるものだ犬越路へはですよ。良い所では有るが、名前がもっと良いのだ。一度は訪ねて見たい響きでしょうが。其れがさあ、二度でも三度でも、になるんだよね。
 菰吊山(こもつるしやま)付近のブナノ丸の路上にテントを張った事は閑話に書いた。Yとモロクボ沢を詰めて来たのだ。ブヨの大軍が襲来して、網戸を開けられず、テントに閉じ込められた事も書いた。暑いおー。
 まあ、夏の辛い一面では有りますなあ。でもご心配無く、夕方になると虫達は一斉に姿を消す。勤務時間は極めて正確な様だ。何処かの企業が様に、サービス残業をする様な事は無いのだろう。
 やっと解放されて表に出ると息が白い。網戸一枚でこんなにも温度を上げるものかと、驚いた次第。ベンチで一杯やってると寒くなっちまった。ふっふっふ、天然クーラーの威力ですなあ。
 蛭ヶ岳の朝もしくは夕には雲海が現れる事が結構有る。檜洞丸への稜線の西側が雲海となると、鞍部から東側へ雲が落ちて行く。滝雲って奴である。滝の様に落ちては行かないけどね。ゆっくりと下降する雲は、僅かな温度の上昇で消えて行く。
 滝雲を一杯やり乍ら見る。最高の肴ですぞ。やがて日が富士山へ沈んで行く。見事な夕映えの富士で有る。此れが冬だったらとてもじゃ無いが寒くて居られない。ガタガタ震えて小屋に逃げ込む。夏なればこその贅沢なのだ。
 そりゃあ冬の朝は最高だ。上手くすりゃあ霧氷の花盛り。でもですよ、手は千切れる程痛く、碌に写真も撮ってられない。電池も見る見る消耗する。矢張り、夏の爽やかな朝こそが“山の朝”そのものってこってす。

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