2016年7月25日月曜日

嗚呼、中高年よ その二




 事故者は五十六人、男性四十九人に女性七人で有る。春日氏は「沢歩きはオトコの仕事なのだろう。幸いにして、女性諸氏はおおかた軽傷程度に始終した。同伴男性群に、むろん強いいたわりの真情が動いて(ママ)いた結果に違いない」と述べて居る。
 此の場合の“真情”とは、氏ご自身の心を同伴男性達に仮託して居るのだなあ、と私には思えて仕舞う。氏は本物のフェミニストなんですから。
 さて、集計で見ると、死亡者十四人、重傷者三十五人、軽傷者四人、無事な者三人となって居る。重傷者の中の三、四人は自宅に帰ってか、或いは病院で亡くなったであろう人が居た事を、春日氏はほのめかして居る。
 此処は統計通りに死亡者十四人とすると、死亡25,4%となる。沢歩きとは何と危険な事よ!
 本には遭難者の平均年齢が記されていないので私が算出したら二十二歳一寸ととなった。如何にも若い、若過ぎる。私は間もなく六十九歳になるが、此の若者達は四十六年も早く世を去って仕舞ったのか。嗚呼。
 月に均せば一件強の遭難発生だ。勿論無事に帰ったパーティ或いは単独者の方が圧倒的に多いのだから、どれだけの人間が問題の二本の沢へ入ったか、今となっては想像不能だ。きっと、ウジャウジャ入ったのだろう。
 葛葉山荘の名称も出て来る。沢の入口近くに小屋が有った訳だ。塔ノ嶽の別名を小屋ヶ岳とも書いて有る。今は無き小屋がずらーっと並んで居たってこった。
 勿論、商売になったから小屋も建った。小屋を建てれば一財産造れた、と有る。客には不自由しなかったのだろう。
 詰まり、表丹沢だけでも、葛葉川、四十八瀬川、水無川には若者がどっと押しかけて、どんどん沢を登って行った。たまに落ちて仕舞う人間も居た訳だ。

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