2016年5月6日金曜日

閑話 その百八十八




 本来は山の報告なんだが、余りにもノンビリ山旅で、尚且つ春山には結果としてならなかったので、閑話にしました。
 死にかけてから一年と四ヶ月一寸と、思いっ切り負担の少ない春山をと考え、松手山にテントを張って、平標ピストンと決めた。
 初日に地図上二時間の登りで松手山。これなら何とか行けるだろう。中日にピストン、地図上で二時間だしアタックザックの空身だから、仙ノ倉迄足を延ばせるかも知れない。最終日に下山、うん、楽勝だぜ。
 楽勝もクソも、テントでゴロゴロしに行く様なものだ。良いのさ、未だ体力は回復途上なんだから、春山回帰第一歩って事。
 メンバーはお馴染みのY、入山は越後湯沢に前夜入って、例の如く駅外で寝ようって訳だ。ホームレス派の面目此処に有り。
 心配が一つ、アタック日のみが全国的に雨マークなのだ。降ったら降っただ、停滞すれば良い。一人じゃない強みだ。“雪山を楽しむ”がコンセプトってとこかな。
 越後湯沢で寝て、三日朝いちばんのバスに乗るが、進むにつれて心配が増す。雪が無い。山が黒い。白砂山を目指して藪と格闘した時の様だ。何せ水は夫々1.5lしか担いでいない。雪が無尽蔵に水を供給してくれるのだから。
 ひたすら登って小さなピークに着いた。数人が休んでいる。其処が松手山だった。え、雪なんざ欠片も無いじゃんかさあ!
 平標への稜線も青々として雪なぞ無い。上の写真がそれで有る。残雪が所々に見えるのみ。雪山に来たんだぞ、夏山じゃ無いんだよー(涙)。
 そう言えば我々を抜いて行く諸君は誰もピッケルなんぞは持っていない。雪が無いと知っているのだ。ピッケルとアイゼンを担いでいるのはあたしとYだけだ。
 雪が無ければ幕営はできない。先の鞍部左側に残雪が有る。写真の中央左上だ。登山道から一寸と藪を漕ぐ事になるが、あそこに張るしかなかろう、と歩き出すと左の藪にに小さな残雪が有った。
 結局其の雪を使用するとして、其の一寸と先の残雪の上にテントを張った。テントはYに任せてあたしゃあ雪採りで有る。
 続きます。

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