2015年9月23日水曜日

休題 その百五十一




 退院してから八ヶ月が経過した。早いもんですなあ。日常生活には不自由ないのが有り難い。山は全然駄目なんだけどね。
 入院中の記憶はどんどん薄れて行く。結構な事だ、嫌な事は忘れるに限る。ただ、術後三、四日続いた譫妄状態は忘れられない。
 目をつぶると真っ赤なステージが広がっている。其処へ横書きの文章が上へ登って行く。何とか読もうとあがくのだが、読み切れない。真っ赤なステージは三晩は続いただろう。
 二晩目は文章が詰まらない脚本のテロップになっていて、ずーっと読まされる。滅茶苦茶詰まらないのだ、其れがさ。拷問みたいなもんだった。
 三晩目はオーケストラが鳴り続けた。此れ又、世にも詰まらない曲なのだ(涙)。一晩中聞かされるのだ。一体何時寝ていたんだろうか?うつつのうちに朝を迎えるって感じだった。赤いステージでの拷問の三晩、何なんでしょうねえ。
 其の合間にチューブだらけなのに起き出してウロウロする。看護師にこっぴどく叱られ、束縛すると脅されたので、動き回るのは止めた。チューブを引き摺って何をしたかったんだろう? 其の時は何か目的が有ったようなのだが覚えていない。
 大晦日にバイタルが急激に悪化し、家族まで呼ばれたのだが、口から管が40cmも入っている。それが不快で堪らず引き抜いて仕舞った。
 看護師が見つけてまあ怒った事(当たり前ですなあ)、此の時も束縛されると脅された。でも先生には、訳の分からないうちに引き抜いたらしい、と報告してくれたので、先生には叱られずに済んだ。
感謝してますよ看護師さん。確信的に抜いたとばれたら本当に束縛されてしまう。そうしたら二重の拷問になっちゃうもんね。
 術後に譫妄が出るとは言われていたが、いやいや、本当なんです。面白くはないけど、一寸とは面白い体験だったかなあと。

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