2015年3月14日土曜日

閑話 その百四十七




 さて、其の針ノ木小屋での小気味良い出来事を語ろう。あ、立場に依っては小気味良く無いかも知れない。山を長くやって居る人間にとっては小気味良い、と訂正しよう。
 先ずは偉そうなおっさんと小屋番のやり取り。あ、決して何かの偏見では無く、記録其のものですからね、誤解無き様。
おっさん「お茶は無いのかね」
小屋番「無いです」
おっさん「何かね、金を払えば良いのか」
小屋番「頼んで下さい」
おっさん「え」
 わくわくして野次馬のあたしゃあ見てました。小屋番は、此の小屋ではお茶は売り物じゃ無い、どうしても欲しければ頼んだらどうだ、と啖呵を切ったのだ。やったぜ!!
 結局おっさんは、モゴモゴと頼んでお茶に有り付いたのだが、山では何でも金で買えると思うなよ、って事で有る。フッフッフ、思いっ切り小気味良く眺めさせて貰ったのだ♪
 次は別のおっさんと同じ小屋番のやり取り。おっさん「(ゴミを手に)何処に捨てれば良いのかね」
小屋番「昨日から其処らにゴミを捨ててますね」
おっさん「え、でも」
小屋番「ゴミは持ち帰って下さい(ぴしゃり)」
おっさん「……」
 おいおい、当然のこったろうがよ。登山のいろはじゃないか。そんな事も分からないで山に来るんじゃない!!
 言われた方は腹が立つかも知れない。特に里では地位の有る人程だ。でも言うでしょう、郷に入りては郷に従え、と。
 あの小屋番氏はきちっと物を言って、上等だ。尤も外の小屋番でも同じ事を言っただろうなあ。南アルプス南部の小屋なら、間違い無く怒鳴り付けられて居た事だろう。
 そんな思いが、あの狭い小屋の中をかけめぐるので有ります。とは言っても激しい夕立しか目には浮かばないんだけどね。(惚け?)

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