2014年11月24日月曜日

閑話 その百三十三




 其の林道が下って行く。勿論、此処は登るの一手だから植林を登る。すると653,3mピークに着くので目出度い。
 これが植林の中の、何とも詰まらないピークなのが、余り目出度く無い。古びた小さな標識が打ち付けられて居て、“エボシ山”と書かれて居た。ふーん、名前が有ったんだ。
 昔々此のピークを踏んだ時に、地図を見て居る青年に会った。彼も変なとこ好きの御同輩だったのだろう。
 さて、どうしよう。昔下った尾根でも良いが、日向薬師へ向かう尾根が有るので、此れを行く事にする。あっちの方だろうと、見当をつけて踏み込む。
植林の尾根だ。藪は無い。嬉しい。途中で鹿柵を二度跨ぐ。鹿棚越しも、慣れれば何てこたあない。慣れてる人は少ないだろうけど。唯、頼りが針金なのが偉く頼りない。
 やがて林道に出た。先は植林では無いので、きっと藪だろう。もう藪は充分堪能したので、林道を下る事にする。すると五十前の夫婦連れが居たので、日向薬師への道を聞く。親切に歩道入口迄案内してくれたので、山の話なぞし乍ら行く。
 礼を言って道に踏み込んで思い出した。数年前に日向薬師へくだった時も、林道を少々歩いて此処へ入ったんだ。忘れるもんで有る。
 程無く道に出ればもう里だ。点在する家は花を育てて居る。のどかな山村風景だ。住めば都、こんな所に住んで見たいと思う。
 日向薬師のバス停で三十分程待って、伊勢原へ出た。前に来た時はバスを二時間近く待たねばならなかったので、えーい面倒だ、と伊勢原迄歩いちまったもんだ。今回は大人しくバスで帰った。
いや―、藪が煩く展望も無く足元も悪くて爽快感も全く無い。すっごーい物好き向けのコースだったです。

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