2014年7月23日水曜日

死ぬほど旨かった桃の缶詰 その四





 その尾根の東の桧洞沢にも、遥か昔に黒い破線が有った。勿論今は破線も無い。
 其処を登った時は、もう道だった跡は微塵も無かった。積まれたケルンも崩れたのであろう。ペンキのマークも消えたのだろう。秋の清々しい日に登った事を覚えている。
 分岐から右はユーシン沢だ。此処もでかい滝が無い私好みの沢である。詰め近くの藪は少々うるさかったが、こっちはマニアだ、気にもならない。其の上、上手く詰めれば(上手く詰められたので)水場に飛び出るのだから、後は踏み跡を行けば良いので、最高じゃんかさあ。
 桧洞沢の支流にザンザ洞という、厳しい滝を持つ沢が有る。桧洞丸の周りには、外にも音に聞こえた峻険な沢が、ずらーーーっと並んでいる。勿の論、金輪際絶対、死んでもそんな恐ろしい所には、私は近づかない。ふん、近づけないないんだもんねー。私が詰めるのは、またーりとした沢だけだ。
 それは何処だって?下手に真似されて、何か有ると困るから、金輪際絶対死んでも、言う訳にはいかない!自己責任って事で、調べて下さい。
 しまった、これで桧洞丸へ沢で登った話しは、できなくなってしまった。自縄自縛って、この事なんだ。
 沢も尾根も詰めたが、頂に近づくと、林相が変り、ブナ林帯そのものとなる、春ならば前章で述べた通り、バイケイ草がとても綺麗である。
 青ヶ岳山荘が頂上直下に建っている。大分老巧化が進み、一寸と傾いて居る感じだが、現役の小屋だ。
 初めて訪れたのは、四昔前の四月の頭、見事な雪景色であった。で、その時が、桧洞丸を初めて訪れた時なのだ。
 (死ぬほど旨かった桃の缶詰 その五へ続く)

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

写真がみごとですねー!遠近、濃淡、自由自在でよく映っていますね。それにしても、これだけのバイケイ草が一斉に咲いたら本当に素晴らしいでしょう!すごく良いところですね。

kenzaburou さんのコメント...

確かに、一斉に咲いたら見事でしょうねえ。
あたしは一度も見た事が無いのです。
開花時期が夏なので、バイケイ草の生えてる処には行ってないんです。
気付かなかった。