2013年10月21日月曜日

丹沢らしさって その四




 ご存知の方はご存じだろうが、丹沢の沢はゴーロに埋め尽くされて居るのが一般的で、決して美しい沢の呼称には似合わない。でも本来は、綺麗な滑や川原の、美しい沢だったそうだ。
 大正十二年の関東大震災の余震が、翌十三年一月、丹沢を震源地としてM7.9の規模で発生した。此の時丹沢は一斉に崩落し、川原は土砂で埋まり、山肌は荒々しく削られた。丹沢が砂煙に包まれた、と大昔に読んだ記憶が有る。で、ゴーロの沢になったのだ。
 依って、(一部を除いて)ゴーロの沢が、丹沢らしい沢になった訳だ。一寸と悲しくも有りますなあ。
 中央丹沢、西丹沢が顕著なのだが、密藪が凄い。勿論どの山でも、藪の深い処は有るのだが、丹沢も決して外に引けを取らない藪山なのだ。篠笹、スズタケ、蔦、其の他にびっしりと前を閉ざされると、心底溜め息が出る。
 こじ開け、掻き分け、強引に進むしか方法は無いのだから、泣けても来る。泣いて居ても日が暮れるだけなので、ガサガサと頑張るのだ。尤も、ちゃんとした登山道では、そんな苦労はしないで済む。
 沢の詰め上げや、枝尾根を這い登る時の風物なのだ。中々風流では有る。自然をたっぷりと楽しめる趣向なのだ。お馬鹿な貴方に特別にご用意しました、と言った処で有る。
 藪、即ち丹沢らしい。此れも一寸と悲しい話で有りますなあ。
 表丹沢、東丹沢の特権だが、足元に広がる光の海。あ、勿論夜景ですよ。高尾山が余りに有名だが、高さが倍以上有る丹沢の夜景はスケールが違う。全く違う。
 本当に足元から、相模平野から関東平野へ大パノラマの光の競演、少々の寒さなぞ忘れて仕舞いそうなの。唯、物凄く綺麗なのは矢張り冬なので、少々の寒さでは無いのだから、
とてもじゃ無いが、ゆっくりとはして居られないのが難点だ。
 丹沢らしさと言えば、大体以上だろう。え、外の山と大差無いって? そうねえ、確かに。でも良いのさ、好きな山が一番!!

2 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

山への想いが初恋に似ているというのは、まったく同感です。いつまでも変わらない不滅の愛ですね!もう登れなくなっても、山への気持ちに変わりがないことを今回の旅で再認識しました。本当に山って、特別ですねー!(しみじみ)
丹沢の良さを知り尽くしているKENZABUROUさんは、一生の初恋相手をもったラッキーな方です。

kenzaburou さんのコメント...

なあんとおっしゃる dog lover さーん♪

一生の初恋相手をもってる同士じゃないですか!!