十七の続きで足が進まなくなった処でした。
どうしてなんだ?とショックだったが、考えて見れば無理からぬ事で有る。此の十数年春山はYと二人連れで、単独の春山は本当に久し振りだ。
単独だと荷物が重くなる。テントでも火機でも食器でも燃料でも、単独だって同じく必要な為、全部私のザックに納まる訳だ。
十年前なら何でもなかっただろう。あたしは此の十年で徐々に食が細って、今では我が家一の小食だ。友人達と比べても、甚だしく小食だ。体重も57か58Kgに安定した。
燃費は良いが、荷物を積めない車になっちまった訳だ。以上はあたしの推測だが、多分当って居るだろう。さもなければ、何か病気が有るか、だ。現に癌を二度やったしね。
やっと、ヒュッテと小屋の分岐票に着く。一寸と上がればテント場なのだが、それが出来ずにザックを背負った侭腰を下ろす。そして暫く動けない。
意を決して立ち上がり、やっと幕営地に着いたら、一番手前に撤収した跡が有り、ザックをどさっと下ろす。此れで雪を踏んで張る場所を造らなくて済む。嬉しいよー!
尤も此の時のあたしはゾンビ状態で、それもダニー・ボイルでは無く、古典的なよろよろ蠢くタイプのそれで有る。従って、雪は踏めなかっただろう。極めてラッキーだった。
処であたしはダニー・ボイルと相性が悪い。倅は彼のフアンで、ビーチなんざほめ捲くるのだが、あたしゃあ観たって何も面白く無い。一本だけ評価出来るのは、スラムドッグのみで、相性とは有るものだとつくづく思う。
休題ではなかった。春の涸沢の話に戻る。
ヒュッテに登録に行く。両手にコヘルとポリタンを持って。近くのテントの若者に聞いて有る、水は蛇口から流れると(嬉し涙)。
あたしはテントを張る場所(自分が決めるんだけど)に着くと、キョロキョロと雪を見回す。綺麗な雪を集めて水にするんだから。
上越の誰も来ない山と、北アルプスはこんなに違うのか!蛇口が有って、水は汲み放題、雪を融かさなくて良いんだって?
助かった。ゾンビのあたしゃあ、雪を取るのでさえ、どれだけ時間が掛かる事か。
手続きを終えてテントを張った。幕営料は無料。雪崩の危険が有るので自己責任と言う事で。笑っちゃうね、そんなら何時でもあたしは自己責任。雪の山に登る奴は、どう考えても自己責任。
手続きをしたヒュッテの周りのテーブルには、中高年の諸君が、ビールを手に談笑して居る。幕営地に戻ると、若者の世界。
あーそうか、あたしの歳では小屋に泊まるんだ。其れが当たり前なんだ。あたしがテントを、春の涸沢に担ぎ上げるのは今年が最後のチャンスだったんだ。来年は無理だろう。
更に続きます。
2011年5月11日水曜日
山の報告です その十八
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8 件のコメント:
いつか二人用テントを入手したいと思っています。友人に(一人は1000ccで体重120kg、もう一人は750ccで70kgくらいの奴、何れもホンダ;危なげなく走れるのはこれだという)ビッグバイクにテントその他を積んでツーリングするのだそうだ。何故二人用かというとヘルメットやウエアなどの荷物を収めないと翌日の走りに支障を来たすからという。
省エネの世界でも彼らは続けるだろう。
そんな訳で安直に自然界に身を置くにはこれが良いと思うのです。二人乗りできると言う事は80kg積んでも、そこそこ走れるわけですし、オートバイは意外と普段と違う筋肉を使うので良い運動になるのです。私は、225ccで年式は不明のトレール車。昨年11月にバッテリーが駄目になっているが未だ走れる。問題は荷台が小さすぎるのと、キャラメルブロックだが賞味期限切れのタイヤ。新しいバイクは欲しいけど愛着があるので随分長く使っています。
けん様の登山靴みたいなものですね。
ああ、、、これが 春の涸沢なんですね!!!夢みたいな光景です。うるる うるる。素晴らしいですね。最高っすね。本当に最高っすね! 豪華絢爛、ザ ベスト、これ以上美しい景色は 他に望めません!うるる、うるる、、、。
Kenzaburouさん
こんにちは!
突然ですが、高校時代の音楽部OB会
を5月22日にやります。是非ご参加下さい。
詳細は海老原君(旧姓石田)に連絡してみていただけますか?
悪戯っ子(デラシネ) さん
二人用のテントに二人入るのは結構きついのです。特に、120Kgの人だと。
3人用が楽でしょう。
此処2日此のソフトの調子が悪く、Dog lover さんと、いとうさんのコメントを拝見した覚えが有るのですが、ソフトが修復されたら消えて居ます。
あれは酔っ払っての幻想だったのでしょうか?
確か、いとうさんからはOB会のお誘いだったと思うので、幻想じゃあ無いですよね。
いとうさん
昨日のアルコールが抜け、今日のアルコールが入ったら、思い出しました。
詳細は石田君に聞けとの事ですが、彼の連絡先を知りません。
kenzaburou18@yahoo.co.jp
あたしのアドレスなので、ご連絡をいただけませんか?
アドレスを公開して大丈夫かって?
大丈夫、此処は殆ど人が来ない地の果てなのです。
はじめて この写真を見たとき、思わず涙がおろろ、、、とでました。雪のないときの ここからの景色に何度 見とれたか わかりません。夏山ですが、この光景が見たいばかりに、少なくとも20回は通いました。
春の涸沢はこんなに 雪があるのですね。堂々と 穂高と槍が聳える この景色は最高です。すばらしい! 毎年行ってください!!!荷物は誰かに持たせて。
Doglover Akiko さん
20回も通ったのですか。
確かに、この世のものとは思えない素晴らしい所です。
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