2011年5月9日月曜日

山の報告です その十七



 “空に雲”の章で、雪の穂高にはもう登れないのかな、と書いたが、今年ならギリギリ行ける、と突然思って出掛けたのです。理由は何だって?何も無い。そう思っただけ。
 若い頃の登り方はきっぱりと忘れ、細かく刻んで行くのだ。初日は徳沢迄。二日目は涸沢。三日目に北穂をピストンし、横尾、出来たら徳沢へ下る。四日目、蝶ヶ岳をピストンして、穂高を眺める。五日目に帰京。え、丸で年寄り登山だって?そう、其の通り!
 装備を詰め込んだザックは25
Kg超、駅に向かうのもヨタヨタで、妻も心配したそうな。格好悪いが目的は雪の穂高、格好なんざどうでも良い事。雪の穂高に登るのが全てだ。
 三日(火)満員の梓一号に乗り込み、昼には上高地。例に依ってあたりは観光客で一杯、間を擦り抜け歩き乍ら思い続ける。急ぐな、良いか、本番は明後日なんだぞ。体力を温存しろ。
 で、初日は雪も無い徳沢園の幕営地で、暖かい夜を過ごしたのだ(テントを張った直後一寸と降られたけど)。後は皆、偉く寒い夜になるのも知らずに。
 二日目、六時半には歩き出す。何たって涸沢迄なんだから、コースタイムでも四時間十分。何だよこりゃあ、人に聞かれりゃあ恥ずかしいなあ、でも、コースを外に造りようもなかったので。昼には涸沢に着いて、雪の上でゆったりと暮らすのだ、フッフッフッフ。
 天気は上々だし、テントを張ったら時間もたっぷり有って、持ち上げた缶チューハイ(一日一本当て)じゃ足らないだろうから、小屋でビールも好きなだけ買って、贅沢な景色を楽しみつつ日向ぼっこなんて思って居たのだから、浅はかなもので有る。猿並みの頭としか思えない。
 取り合えず、あれ?と思う程、苦労無く横尾に着いた。流石に雪の多かった今年は、幕営地は一面の雪だ。一服つけて自分に言い聞かせる。メインは明日だ、ゆっくり行こうぜ。
 此処迄来れば、流石に観光客は居ない。大ききなザックの幕営組か、小ぶりのザックの小屋泊まりか、いずれにせよ登山者の世界だ。
 それと、夏と違うのは、若者(二十代、三十代、四十代)が半数以上を占めて居る事。春山ならではの事だ。夏山では有り得ない。 横尾の橋も立派になった。昔は丸木橋だったが、今はしっかりした吊り橋だ。
 橋を渡ればあと三時間、笑っちゃいますよね。と、思って居たのが大違い、炊事洗濯丸で駄目、一言文句を言ったなら♪。
 段々雪は深まる。トレースはしっかりと有る。トレースを辿るだけなのだが、脚が重くなって行き、つい先を見上げる。好調な時は見もしないのにさあ。すると、何処迄も雪の斜面が続き、ガックリする。 屏風も遥か下の急登となった頃には、足が進まなくなった。一歩出して二回息をつき、又一歩。情無い話は続きます。

4 件のコメント:

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

さすがに やっぱり穂高は まだ真冬なんですね。寒かったでしょう。
でも最高だったでしょう!!!

kenzaburou さんのコメント...

寒かったです。
最高でした。

悪戯っ子(デラシネ) さんのコメント...

オーストラリアは秋ですね。そちらでは英語で秋というのでしょうか? 紅葉はありますか?
東京は日替わりで、7月の暑さと3月の寒さが繰り返してます。春の嵐とはこんな状況をゆうのですね。お琴に同名の曲が在りますがメロディーを忘れました。

DOGLOVER AKIKO さんのコメント...

悪戯っ子さま
はい、シドニーは 秋の真っ最中です。ポプラの葉が緑から黄色になって赤に変わったところです。今朝は気温が7度でした。昼間は20度を越えます。栗や柿が出始めて、みかんも美味しくなってきました。日本では売っていたホカロンが ここでも手にはいるといいのですが。