2024年3月11日月曜日

閑話 その四百四十三


  令和五年の秦野署管内の遭難件数は四十件、遭難者数は四十二人であった。秦野署管内だから、大山南尾根から北尾根、長尾尾根から塔そして鍋割、その侭南への尾根を下った範囲なので、表丹沢の多くの区域ではあるが丹沢から見れば極一部と言える。人出は多い地域だが一番整備がされていて危険は少ない。それでも四十件ですか!

 転倒十二件、疲労十件、道迷い(変な言葉)七件、滑落四件、転落二件、病気二件、その他熱中症等五件である。無傷十九人、軽傷十一人、重傷八人、死亡三人、行方不明一名が内訳である。

 平成元年以来の最高件数だそうだ。令和四年以前と比べると転倒が急増している。勿論下りの転倒だ。登りの転倒だったら、余程痩せてヤバい所以外は手を突けば終わりだ。登山道での転倒だろうから、疲労が原因かな。年齢は明かされていないが、高齢者が多いだろうと想像できる。疲れた高齢者の下山は危険を孕んでいるのです。

 亡くなった三人は病気と滑落とある。発病して死に至ると言うより心臓発作か脳出血であろう。これも高齢者には昔からある。滑落の死者はどこで?と思うのだが、急な崖はそこら中にあるし、急な尾根道もたまにあるので、運が悪かったと言うしかない。

 「不調を感じた時点ですぐ下山すれば、遭難しなかった事例が多数ありました」と秦野署は書く。その多くは転倒と疲労だろう。体調が今一つなのに頑張って転ぶか、疲れ切って救助を要請した訳なのかな。

 登山者が増えたのは喜ばしいのだが、事故が多過ぎる。特に山経験のある年配者は昔の感覚が残っていて、未だ未だ歩けると思いがちだが実際は違う。一年経てば一年衰えている。気付かないだけだ。

 何とも冷たい書き方になってしまいましたなあ。山で怪我したり死ぬんじゃないよ、と思うんです。自分の状態を過信しないでとの思いです。

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