2024年2月4日日曜日

閑話番外 その百五十三


  次女が冬の空木岳に二度撃退された話は書いた。次女が来たので様子を聞いたら、思った通りに大地獄を越えてのトラバースで引き返していた。直登する足跡があったので追随したが、下りを考えて途中で断念したと言う。正解である。単独で傾斜の強い雪の岩場を下るのはお勧めできない。

 夏には日帰りで登る人が結構いて驚いたと言うと、冬でもだとの返事。調べたら冬の日帰りピストンも相当あった。上の写真はその一人の物を無断借用、御免なさい。

 十三時間一寸とでピストンしてる。その体力にも驚くが、冬のアルプスを恐れないメンタルの方が驚きである。あたしが様な古い男はアクシデントでもない限り、十三時間以上も冬山で行動する計画を立てられない。いや、立ててはいけない、と思っている。

 天候急変、ホワイトアウト、降雪、吹雪、ビバークと、碌でもない出来事が想定されるからだ。山への畏れと言うべきだろうか。畏れがなくなり山がフィールドとなった。

 装備が格段に進化した事は何度も書いた。少々の悪天候には耐えられる様になった。しかも軽いし使い勝手も良いし。

 もう一つは天気予報だろう。昔々は当たらなかった。特に山の天気は出たとこ勝負の感があった。今じゃあ特定の山の天気がほぼ正しく予報される。完全ではないが、昔々と比べれば雲泥の差である。

 空木岳が明後日一日中快晴と分かる。よし、朝三時から登れば夕方迄には下山できるぞ、って事になる。午後からガスったら困るだで避難小屋で一泊にしよう、と言う予定を立てずに済む。昔々の人間は、大丈夫なのけえ、と呟くばかりなのだ。

 大体からして駒ヶ根へは高速バスで一遍に行ける。飯田線でゴトゴト行くなんてない。早くから登る諸君はバスも使わずマイカーである。時代が凄く変わったのですなあ。

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