2024年2月22日木曜日

閑話番外 その百五十五

 


 どうにか記憶力の良さを誇っていられたのは六十代中半迄だったろうか。特に山に関してはパーフェクトだった。え、××岳?〇〇岳から入山して△岳へ抜けた、夏の二泊三日で、幕営だった。もう一度は何々からのピストンで春山さ。かように頭の中のノートは完璧に確りしていた。

 それが今じゃどうだい、え、××岳?うん登った登った、どこからだったかなあ、えーと、ピストンだったっけなあ。。。。 こんなんじゃあ話にもならん!

 この間Yと高取山を歩き乍ら「大倉高原から塔を目指して失敗したのは今年だったっけ」と言うと、Yは「違うよ、去年の秋の事で、忘年山行はゆっくるやろうって堀山だったんだ」と言う。そう言われれば思い出す。前後関係すら怪しくなって来た訳だ。

 あたしは山ノートをつけなかった。全部覚えていたから。ポジフイルムを使い出した平成元年から、どの山はいつ行ってポジフイルNoは幾つ、と記録する様になってついでに簡単に山行内容も入れた。今となってはそれ以前の、一番盛んに山へ行ってた頃の記録がない。同時に写真もない。正確に言うと写真はずっしりとあるのだがネガがない。記憶にあるから平気だい、って思っていたのが頭の中の消しゴムの働きでダメになった(涙)。

 いやはや、こんなざまになると分かってれば記録をつけていたものをねえ。丹沢にしたってそうで、あの沢この尾根、片っ端から歩いたがその記憶も曖昧になり掛けている。この枝尾根歩いた事あったっけなあ、とやがてなる事だろう。

 冒頭の、え、××岳?名前は知ってるがあたしゃ登った事あったっけなあ、となるのもそう遠い話でもないってか。

 自然現象でしょう。殆どの人に訪れる記憶力減少、あたしにも訪れてるだけです。強い印象は明白に残ってるのだからそれで良しとしましょう。

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