2024年2月19日月曜日

休題 その五百十一

 


 ウクライナ、ドネツク州のアウディーイウカは長い間ロシア軍の攻撃目標になっていた。プーチンの政治的意図に依るものだろうが、損害を無視するが如くの攻撃が繰り返されていた。ロシア軍も多大な犠牲を強いられたがじりじりと前進し、アウディーイウカは包囲される危機が迫っていた。依って、十七日にウクライナ軍はアウディーイウカから撤退して町はロシア軍に占領された。

 これは現実的判断であろう。ウクライナ軍は砲弾不足に苦しんでいる。撃つ砲弾はロシア軍10に対しウクライナ軍1の割合だ。ロシア軍も一時砲弾不足だったが北朝鮮から購入して、不良品もあるものの数量は充足された。ウクライナへの補給は不足って事ですなあ。

 一番の支援国の米国が、次期支援の法案が共和党の反対で成立せずにいる。ヨーロッパの戦争はNATOが中心になるべきだ、と言う訳だ。一理あります。NATO各国はGDP2%軍事費が目標だが、去年達成したのは七ヶ国しかないのだから。

 撤退作戦は難しい。撤退中に散々叩かれる。千人近い捕虜を出し、その他の死傷者もいるだろうが、まずは成功したと言えるだろう。

 アウディーイウカ攻防戦に於けるウクライナとロシアの損害比は1:6.7と推定される。攻撃側の損害が大きくなるのは決まり事だが、ロシア軍は無謀な攻撃を繰り返し続けた。前記のプーチンの政治的意図の所為かと思う。軍事に政治が絡むと酷い事になるのは、インパール作戦を見れば良く分かる。

 ロシア軍がこんな無茶な作戦を続けると、人的物的資源も乏しくならざるを得ない。それを気にしないのがプーチンか。ではウクライナ軍は又どこかで撤退を強いられる。

 米国とNATOの支援がなければやがてウクライナは敗北する。次に怯えるのはモルドバとバルト三国だろう。米国が支援再開をしなければ、プーチンを喜ばすだけでしょうに。

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