2023年10月23日月曜日

閑話 その四百二十七


  もう高山は冬山である。なのに毎日毎日遭難のニュースだ。北アルプスが多いのは仕方ないだろう、雪がどんどん降るから。

 大曲と言うから槍沢だろう、二十代の男性二人が吹雪で道を失い救助を求め、無事救出された。二十一日の事だ。吹雪の中で行動すればそうなる。それを助けに行く救助隊の苦労も考えてくれよ、とつい思ってしまう。

 これ又二十代の男性二人が三俣蓮華へ向かって行って行方不明になった。二十二日から捜索が始まったが、無事だと良いのだが。でも幕営準備なのだから、無事に下山して来るかも知れない。携帯が繋がらないだけかも。

 爺さんの悪い癖とは心得ているが、昔は(ほら始まった!)携帯なんざなかったから全部自己責任で行動せざるを得なかった。「あのお、自分の位置が分からないんです、助けて下さい」なんて言えなかった。だから慎重第一、迷ったら天候回復迄動かない、と基本を守らなくてはいけないと知り尽くしていた。冬山はベテランだけに許される聖なる領域だったのだ。

 今はベテランでなくても冬山へ行く。装備の驚異的向上がその背景にあるが、携帯の電波が山でも届く様になったのも大きいだろう。その結果登山全体がお手軽になった。

 昔は西穂から奥穂へはバリエーションルートだった。本当のベテランのみが挑むルートだったのだ。今ではユーチューバーが盛んに取り上げている為かと思われるが、難易度の高い一般ルート扱いになって来ている。決して一般ルートではない! あたしは勿論行ってない。若い頃でも力量が不足してたから。今年はそのルートで何人遭難しただろう。その人達はそれだけの経験・力量があったのだろうか。あたしは怪しいもんだと思っている。

 登山が身近になって登山者が増えたのは嬉しい事だ。その代償が自然への畏れをなくす事では、遭難は増えるばかりと危惧します。

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