2023年5月26日金曜日

クソ面倒な話 その九十五


  平成二十九年の一寸と古い本「戦争にチャンスを与えよ」をやっと読んだ。エドワード・ルトワック著、彼は世界的戦略学者、と言うより世界のトップクラスで、たまに産経にも文章が載る。訳者は奥山真司氏、多分日本で唯一の戦略博士号保持者だ。日本の大学には戦略学講座がないのでね。

 ”戦争は平和をもたらす為にある”。平和主義者が聞いたら卒倒しそうですな。”紛争に介入してはならない、戦争だけが平和をもたらす”戦争への介入をビジネスにする国際組織””難民支援が紛争を永続化する”。こうなるとまともな人でも卒倒しそうですなあw

 外部の介入に依る停戦は戦争を凍結させて何時迄も戦争状態に置くだけだ。復興ではなく次の戦争の準備をするのみになる。難民キャンプは固定される。全員が援助で暮らし、その子供達も難民であり、その又子供も難民として生まれ武装勢力に加わるしか道はない。結局紛争は何代にも亘って終結されない。と、説いているのだ。

 逆説に富んでいる感じだが、戦争自体が逆説そのものであるとルトアックは説いている。鋭く真実を突くと、逆説の羅列の様になるのでしょう。余りに世の常識から離れるので。

 ルトワックは戦術学者故に、物事を正確に観察し分析しなければ誤る。そこは科学者と似た境遇である。理想や願望、人はこうあるべしとの思いを排除して戦い(古今の大戦争から小さな紛争迄)を調べて分析すると、戦争の赤裸々な姿が現れる様だ。”平和が戦争につながる”なぞと、誰もが「何だ!」と思う結論に達してしまうのだろう。

 戦争を呼び寄せ易いのは”あいまいさ”だと彼は喝破する。”あいまいさ”は相手に誤解を与える。一番いけないのは”まあ大丈夫だろう”と言う態度。うーん、日本の態度をモロに指摘していますなあ。

 そして思いも依らぬ展開になるのは次章で。

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