2022年2月4日金曜日

休題 その四百九

  コードネーム エンジェル

 例により写真の無断拝借 失礼。

 第四次中東戦争、別名ヨムキプール戦争はイスラエルへのエジプトとシリアの奇襲で始まり、不敗を誇るイスラエルが初動期に惨敗を喫した。持ち直して開戦時の戦線へ押し返した時点でアメリカの介入に依り停戦した。

 世界一の諜報機関はCIAKGB(これはソ連時代か)?007のMI6? いえいえ、イスラエルのモサドだと言われている。そのモサドがアラブ側の奇襲を何度も警告したのにも拘わらず何で奇襲を受けてしまったのか、あたしには長い間謎だった。何せ空襲警報が鳴り響いた時、或るモサドエージェントは膝をついて泣き崩れたと言うのだから。

 その謎がネットフリックスの映画「コードネーム・エンジェル」で解明した。二重スパイが存在した。それもナセル大統領の娘婿、アシュラフ・マルワンだった。彼はソ連べったりの戦略に批判的で、アメリカと手を組もうと考えていた。為に、ナセルに疎まれる。彼はモサドに連絡し、自ら情報提供を申し出る。

 ナセルが急死して副大統領のサダトが後を継ぐ。彼をサダトは重用する。彼は二度開戦の偽情報を流し、三度目は本物の情報を渡す。”狼少年”の話そのものである。結果、イスラエルは無防備の儘開戦日を迎えた。

 事実に基づく、と謳っているのだからそうなんだろう。停戦後どうなったか、あの歴史に残る中東和平である。サダト大統領がイスラエル議会に招かれ平和を訴えた。これは一発イスラエルにかましたからこそできた事だ。負け続けていては話にならんから。

 あたしが様に第四次中東戦争に興味を持つ者には貴重な作品だが、そうでもない人には物足りない映画だろう。何たって説明が不足している。分からない人には分からないのだ。それと主人公の動機が全く不明なのだ。最初にモサドへ連絡を取った迄は分かる。環境が一変してからが分からない。戦争をしてえのけえしたくねえのけえ。これは致命的な失敗でしょう。

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