2022年1月20日木曜日

閑話 その三百七十一

 

 八ヶ岳の天狗岳で遭難が発生、七十一才の女性が亡くなった。十七日の夜に遭難し、十八日朝には救助されたが一人は助からなかった。同行者は七十代と八十代の男性各一人で、佐賀県から来たパーティだ。

 典型的な高齢登山者の遭難だ。天狗岳は危険な箇所がないので冬山入門には持って来いなのだが、2645,8mの山岳なので天気次第なのは言う迄もない。十七日は雪で、夕刻から吹き降りになったと言う。

 彼らのコースは情報がなくて分からない。二泊の予定で、十七日は黒百合平の小屋泊の予定だったらしいので、前日は赤岳鉱泉だったろうか。オーレン小屋も夏沢峠も冬は閉まっているので、多分そうだろう。

 遭難場所は頂上近く、十九時のSOSだったので、吹雪の中を何とか黒百合ヒュッテへ着こうと頑張ったのだろう。頂上からは一時間の下りでヒュッテなのだから。

 吹雪の中高山は下れない。全く視界が効かないので、思わぬ方へ下る事になる。しかも十九時では話にならない。真っ暗になって一時間以上も経過している。そんな状況になる前に樹林帯へ引き返していれば、ビバークに亡くなった女性も耐えたかも知れない。

 山頂直下でのビバークは余りにもキツい。岩陰で毛布を被って身を寄せ合ってていたと記事にはあるが、毛布は持ち歩かない。保温シートの間違いだろう。岩陰で? もろに風が当たらなくても決して温かい訳ではない。回り込んだ風は必ずある。-20℃にはなっただろう。樹林帯でなきゃ無理だ。

 何故雪なのに出発した。帰りの切符に縛られたのか。歳から見てもう仕事の縛りではないだろう。もし仕事の縛りでも、命と引き換えにする程のものか。悪天候の冬山へ登るのは、遭難しに行くと同じなのだ。

 遭難パーティにキツい書き方だが、しなくて済む遭難で亡くなるのが腹立たしいのです。

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