ガスの山頂だったら唯真っ白、景色なんぞーは夢のうーちー♪ってね。少しでも良い、槍だけでも良い、何とかアルプスの景色を見せて下さい、と祈る気持ちでしたよ。
紀美子平には数人が集まっている。六十代後半と見える男性に「奥穂からですか」と聞くとそうだと答える。うーん、あたしも小屋泊まりならできるだろうか。余分な事は考えるまい。穂高はこれで最後にするのだから。空身で登ってもやっとこさっとこなのさ。
頂上に向け登るが、一ヶ所嫌な所がある。あれ、去年こんな思いをしたっけ? 一年で衰えたって事かな。
ガスは流れるが前穂には来ない。奥穂は雲に包まれている。他の山々が皆雲の中ってえのも困るなあ、とか考えつつよろよろと行く。お、ケルンが見えて来た、頂上だ。
正面に槍、やったーっ! 飛騨側から信濃側へ落ち込む滝雲から半身を見せている。奥穂方面は雲の中。後立山方面は見渡せる。いやー、良かった。六人程いた登山者達も喜んでいる。声を掛け合ってシャッターを押して貰っている。スマホが多いから、シャッターではないのかw
そのうちに雲が散り始めた。全ての山が姿を表し始めた。カメラを手に進む。何故進むかって?前穂の頂上は東西に長いのだ。二人連れの男性が進むので、あたしも付いて行ったのだ。「涸沢が見える」との声に、端っこ迄行く。見えました、涸沢を見下ろしましたよ。紅葉が未だなのが一寸と残念だったけど、贅沢は言えませんなあ。
その二人連れは「立山があれ、鹿島槍はあれだろう」と山を見ている。あたしもノンビリと山を見る。最悪、何処を見ても唯々真っ白、でもおかしくなかったのだ。二年越しの思いが叶ったですよ。
喜んでばかりはいられない。登りで苦労した限りは下りで苦労するのだから。
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