2021年9月15日水曜日

閑話 その三百六十六

 


 「丹沢と共に」の題目なのに、手術後は塔と高取山ばかり、たまに弘法山迄入る有様で、看板に偽り有りになってしまった。まあ、固い事は言わないで塔の話をしましょう。駄目?良いじゃないですか、仕方ないんだからさ。

 七日の火曜日、続いた雨の上がった日だ。前回とは異なり爽やかな日だった。汗の出方が違う。秋の訪れが感じられる一日。結構良いタイミングであった。

 一番バスは60%の混み方。あたしは年配組、中年層が中心だった。山中で出会った人もそうだった。面白かったのは、女性の単独行者が半分近くだった事。殆どが中年、初老と若い女性は少数。

 男性も単独行が殆ど。カップルは二組のみ、おばさんの二人連れが二組、若者の三人パーティが一つ、子供連れが一組。詰まり、見た限り圧倒的に単独行者なのだ。

 一寸と塔に登るかな、塔に登ってトレーニングじゃ、久し振りに塔でも行くか、ってこってしょう。皆で塔へ登ろうって人が、その日はいなかったんですなあ。

 吉沢平の上でボッカに追いついた。大きな荷を背負子に括って登っている。鉄人ではなく三十歳位の男性だ、そこへ鉄人が空の背負子で降りて来た。若い男「ボンベは降ろさないんですか」、鉄人「もう降ろしたよ」。ボッカ同士のやり取りである。

 彼らの努力で尊仏山荘(他の山小屋も)は成り立っている。偉いなあ。あたしなんざ自分を持ち上げるだけでやっとなのに。ボンベなんて背負ったら堀山だって着けっこない。

 山小屋のビールが五百円、安いじゃないですか。誰かが担ぎ上げてくれているのだ。尤もアルプスでは八百円だとか。それも仕方ないでしょう。自分でワンカートンでも担ぎ上げて見たら、絶対そう思うって。

 前後した中年単独女性と相前後してバス停に着いた。ガスの山頂は秋風でした。

0 件のコメント: