2020年10月20日火曜日

山の報告です その百一

 


 長い鉄梯子を登り切り、マーカーを頼りに岩稜を登る。休んでいると中年女性が抜いて行く。歩き出すと直ぐに彼女が休んでいる。てな感じで相前後し乍ら頂上迄一緒だった。

 肩に相当する紀美子平に着いてもガスの中。そこに関西弁の女性が追い付いて来た。前穂のピークへの途中で彼女に抜き去られた。速いおばさんである。

 頂上は矢張りガス。なーんにも見えない。華麗な穂高の写真でこの章を飾りたかったが、全くダメ。関西女性が「昨日登った人は凄い景色だと言ってはった」そして笑い乍ら「畜生」と言った。同感ですよ!

 一服点けて万が一の晴れ間を待つが、ダメな様だ。あたしはカメラも出さずに、登って来る人に頼まれて標識を入れた姿のシャッターを何枚か切る。「本当なら槍ヶ岳をバックなんでしょうがね」なぞと言い交わしつつである。割と可哀そうな台詞ですなあ。

 寒いだけなので下山に掛かる。途中で最初に会った女性を抜く。その侭抜き返されなかったので、あたしの抜いた唯一の人だ。彼女は下りを非常に慎重にしていたから。そしてそれは大正解なのだった。

 紀美子平に降り着くと賑わっていた。奥穂からと岳沢からの人達が到着していたのだ。此の時少しガスが切れて奥穂方面が見えた。上の写真がそれ。

 思いがけない事が有った。あたしの足がガクガクなのだ。思えば岩稜歩きは暫くしていない。数年前の西穂高以来だろう。西穂は前穂程のアルバイトはなかった。従って、登山道歩きでは使わない筋肉を酷使したのだろう。前日の岳沢への負担も残っていたのかも。何せ朝トイレに行くのでガレ沢を渡る時、凄くバランスが悪くて困ったのだから。

 いずれにせよ、ガクガクの足で岩稜下りをしなければならない。多くの場所は手も使って下るので良い。良く無いのは変に緩んで足だけで下る場所だ。大腿四頭筋が言う事を効かないので、偉く困るのだ。(続)

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