2020年10月12日月曜日

閑話番外 その百十四

 


 前の閑話番外で、もうテントを担いでの縦走は無理だと書いた。谷川岳小縦走でYが参ったので、もう縦走は止そうと言ったのだが、思えば自分も無理になっていたって事だ。

 そう考えると、あたしは確実にYの後を追っている。昔良くYが言っていた。「花立小屋から塔が大変なんだ」。あたしは驚き「え、三十分も掛からないよ、何が大変なんだよ「それが三十分じゃ着かないの。やっと登るの」「???」と言うやり取り。

 今はよーーっく分かる。大変なのだ。特に夏は、これからが一仕事ってな感じだ。下手すると腿がつるし。塔に着く迄が遠い事よ。あたしゃあ立派にYの弟子である。

 Rさんのいた頃の蛭ヶ岳へは、Yと良く登った。二人ともRさんに好感を抱いていたからだ。蛭ヶ岳山荘も今とは違って、“山男のやってる山小屋“であった。

 山荘は良い。良く無いのは、Yが蛭に登り着くのに偉く大変な事だ。特に最後の登りは(どのコースでも)やっとの思いで登る。あたしは行き悩むYを置いて、先に頂上に行ったものだ。

 今ではあたしもモロにそうなっちまっただよお。最後の登りはメロメロ、時々止まって息をつく塩梅。全く見られた図ではない。元気な同行者がいたら「頂上は其処だから先に行ってるよ」と置いていかれるだろう。

 大室山や天神尾根の下りで、Yは膝が笑って大苦労する場合が多い。酷くなると転んだり転げたりする。危ないですなあ。危険な場所ではないから良いけどね。

 それがあたしも天神尾根で膝が笑う羽目になって来た。腰をつきそうになっちまうのだ。先月下旬の塔の帰りなバスが渋沢に着いた時、降りようとしたら膝がクネリと崩れた。目の前にポールが有ったので、掴まって転ばずに済んだ。さもなければばったりと倒れていただろう。立派にYの弟子になりました。

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