2020年10月16日金曜日

山の報告です その百

 


 今生最後の穂高に登ろうと、行って来たですよ。一番日数を喰わないのは、岳沢から前穂高のルート。前穂は大昔に奥穂から来て、前穂の肩にあたる紀美子平から岳沢へ下ったので頂上は踏んでいない。丁度良い話だ。

 上高地から岳沢ヒュッテ迄は二時間半、ゴアテントを担ぐ自信がないので、ツェルト使用と決める。此の時点で何だかなあ、です。前穂をピストンしたら上高地へ下り、小梨平でもう一泊、一番のバスで帰ろうと言う訳。

 出発は十三日(火)暖かい快晴日。詰まり帰って来たのは昨日の十五日(木)なので、今日は足が痛いの何のって。

 梓一号利用で正午には上高地。観光客で一杯の河童橋を渡り、登り始めるとキツい。ツェルトでなければもっとキツいのかあ。何だか情けない塩梅だ。Yとはテント背負って登ってるぞ。そうか、その時はYのペースで歩くから大丈夫なんだ。一人だと急ぐのか。写真は途中の景色。

 二時間半弱でヒュッテに着いた。ドドッと音がして、あ、と人が寄って行く。こっちは疲れ切って目も上げないから分からない。ザックを降ろし乍ら聞いて居ると、石段を踏み外したらしい。「メットを被っていて良かった」と言っているから頭も打ったらしい。明日の自分の姿とも知らずに、あたしは水を詰めてガレ沢向うの天場へ行って、ツェルトを張った。狭いのは覚悟の上だが、狭い。冬山で三人が入って暮らした事が信じられない。

 夜中に小用に出ると満天の星、こりゃあ幸先良いぞと一服点けて、焼酎を煽るお気楽なあたし。朝見ると見事な曇天、一寸と上は雲の中なのだ、嗚呼。

 晴れるかも知れないと気を取り直して出発する。食事中にも数人の足音が聞こえたから大分先行者はいるだろう。五時半出発だ。薄ぼんやりと道は見える明るさ。

 山道が終わると鉄の梯子になる。其処から岩稜となる訳なんです。(続)

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