2020年9月16日水曜日

閑話 その三百二十六

 


 休題の梵天荘の時の塔の話。十日に一番バスで行って来たのだ。一寸とは涼しい日だったので五時間十分で登降できたが、それでも一生懸命だったのが情け無い。

 もう、抜かれるばかりには慣れた。そんなもんさ、と納得したから。塔のピストンが大仕事(?)になっちまっちゃあ、お終い寸前だ。現実は受け入れなくてはね。それでも二人抜いたのはめでたい、なんて言ってる時点で終わってますなあ。

 見晴らし茶屋の大分上でトレイルの若者が抜いて行った。すぐに「あ、あー」と悲鳴に近い声がした。そこは急な階段の場所で、彼は苦しさの余り思わず叫んだのだろう。

 頂上は風が強く寒い位だった。雲が多く景色は、ほぼ無い。休んでいるのも数人だ。その日は人が少なかった。

 下りに掛かると抜いた一人の六十代男性が来た。横に避けて待つと「急げなくなって」と断わりつつ登る。良いんですよそれで。

 白髪の女性が登って来る。七十代後半と見た。ゆっくりだが確り上る、見事です。若者がぐんぐん登って来る。多分一本後のバスだろう。あたしも昔はああだったんだなあ。

 大階段の途中で三十代の男性二人連れと擦れ違った。「あと何キロでしょう」と聞くので「キロ数は分からない」「何分位掛かりますか」「これを登り切って三十分位かな」「では四十分ですね」「プラスα」「五十分ですか」「若いから、もっと少ないかも」と答えると、嬉しそうだったが、これを登り切るのが大変なんだけど。若いから大丈夫さ。

 その下の階段で、二本ストックでやっと登る六十代男性が来た。参った時のYを彷彿とさせられる。「ゆっくりどうぞ」と声援を送る。他人とは思えないのだ。

 やや涼しかったとは言えビショビショである。完全に体温調節機能にガタが来ている。無闇と汗をかく初老ってこってす。

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