2020年6月27日土曜日

休題 その三百十六



 「ダンス・ウイズ・ウルブズ」は三時間の長尺だ。自粛生活でもなければ見直す事はなかったかも知れない。ケビン・コスナーの初監督作品である。
 それ迄の西部劇と違ってネイティブの立場から白人を批判する内容なので、原作は出版社の拒否によりなかなか世に出なかった。それを取り上げて私財を投入して映画化したケビンには敬意を表したい。作品は大当たりして、アカデミー作品賞を獲得した。
 尤もケビン監督の作品で優秀なのははこれだけ、他はダメダメの連続だったのはご承知の通りだ。併し以降、獰猛残虐なネイティブを排除して白人入植者を守る正義の騎兵隊、と言った映画を消し去ったこの映画の功績は非常に大きいとあたしは思う。
 ネイティブの立場では、白人入植者は侵略者であり、バッファローも殺しまくって皮だけ取る虐殺者に過ぎない。結局バッファローは絶滅してしまった。映画にもバッファローの大群が出て来るが、あれは別の種だと何かで読んだ記憶がある。そしてネイティブも、ほぼ絶滅した様なものなのだ。
 物語はゆったりと展開する。一緒に観ていた妻は「これじゃ三時間掛かるわ」と呟いて、居眠ってしまった。妻よ、ゆったりとしてて良いのだ。ケビン扮する主人公とネイティブの交流が主題なのだから。
 南北中央アメリカは、白人が侵略して来なければ独自の文明(アステカ、インカ)と文化を守って幸せに(? 多分)暮せたものを。アメリカ土着の文明は非常に高度なものだったと検証されている。唯。軍事面で遅れに遅れていた訳だ。為に、文化、言語、宗教の全てを失ってしまった。
 ヨーロッパの繁栄は、アメリカ本来の人々とアフリカから拉致されて来た黒人達の命と涙の上に築かれている。我が国も現憲法を有難がっていては、他人事ではなくなりますよ。

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