2020年3月27日金曜日

閑話 その三百十五



 Yと塔に登った。以前から塔ピストンの時には、我々は時間差で登る事にしている。Yが先行してあたしがバス一台、約三十分程遅れて出て、山中で追いつこうと言うやり方だ。登りの時間差が三十分強だったので生まれた習慣である。
 その前日に次女が泊まりに来た。明日塔に登ると言う。我々も登るがそのグータラペースには付いて来れないだろうと説明すると、次女は一番バス(六時四十八分)で登る事になった。最初に頂きに立つ次女は、Yそしてあたしと下りで擦れ違う訳だ。
 前夜、次女を相手に山の話や本の話をしていて飲み過ぎた。よって翌朝はプンプンと酒臭い状況で、あたしはだるい。六年前はアルコールを振り撒く様な二日酔い(と言うより酔っていた)でも平気で登降できたのだが、六十代と七十代は違うってこってす。
 八時四十分のバスに乗る。Yは八時十二分のバスに乗った筈だから二十八分遅れだ。平日なので中高年だらけってえのが普通なのだが、若者と一寸と前迄若者だった諸君が中心である。旅行と同じく年寄りは動かないのか。
 二日酔いでもボチボチと行く。まあ、歩けるもんだと思っていたら、堀山の家を越したあたりから主導権を失った。
 主導権を失うとは何? 極めて当然な質問です、説明しましょう。一寸と抑えるかな、一寸とピッチを上げ様かな、と自分でペースを決めてそう実行できる状況を主導権を握っている、と定義している。その逆の状況を主導権を失う、と定義するのだ。詰まり、やっと歩いてるって事ですなあ。情けんなかぁよ。
 前を二組の中年から初老のグループが歩いて居た。「お父さん」と声が聞こえる。そのグループに夫婦がいて、奥さんが夫を呼んでるかと思ったら又「お父さん」と呼ぶ。見たら次女がいた。十二時には頂上だから、其処で合って不思議は無い。でも速いなあ。(続)

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