2019年9月8日日曜日

閑話 その三百一



 途中の流れで泥塗れの靴や地下足袋を洗う。テント場は独占で良いのだが、水場が締められていて川の水を汲む。あと虫も独占なのだ。テントを張って、群れたズボンを脱いで表に干してテントに入ると、手足合わせて四十ヶ所(!)も喰われていた。
 Yも相当やられたが、あたし程じゃない。あたしゃあパンツ姿だっただで刺すとこが多かっただよう(涙)。どこが痒いのか分からない状態、そこらじゅうが痒いだよ!
 乾杯! とやってると、ザーッ!と来た。雷も鳴る。幾ら降っても小川のテントはびくともしない。盛大な雨音を楽しみ乍ら飲んだですよ。豪華でしょう?
 とは言ってもYの酒はすすまない。何時もの半分以下だっただろうか。フラフラになるだけあって、疲労はしているのだろう。唯不思議なのは食べられて眠れる事だ。既述だが、フラフラになる程疲労すると、普通は食べられなくなる。そして眠れなくなる。Yにはそれがない。喰えて、凄く良く眠る。
 翌朝には雨は上がっていた。干すつもりで表に掛けておいたズボンは、それでも生乾きにはなっていた。五時には目を覚ましたので時間はたっぷりある。ノンビリとコーヒーから始める。鶴巻温泉は十時にならなきゃ始まらないのだ。
 八時前に出発、悠々と大倉だと思ったがそうは問屋が卸さない。Yは昨日の疲れを引き摺って足が進まない。やっとこさっとこ大倉に着いたのは十時を過ぎていた。
 暑さと蒸れにやられたのだろう。年と共にYは暑さと蒸れがダメになったって事だ。涼しければ大室山だって登れたのだから。兎に角普通じゃない汗かきなのだ。そりゃあ足もつるだろうよ。
 渋沢に出てハコ蕎麦で第二次朝飯。鶴巻温泉で下車、里湯に向かうと工事の為に休業だった。そして梵天荘に行った話は休題で。

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