2019年9月27日金曜日

夢で逢いましょう その五



 シェラフの保温力が増す事。おいおい、夢もクソ(失礼)もなくて、買い替えれば済む話じゃないのけえ?
 それが冬も使えるシェラフは値段が張るのだ。半端ではない。今使ってる“天山”(テンシャン)は三十五年前に買ったのだが、営業マンが見本に持っていた物を安く売ってくれたので買えたのだ。詰まり、横流し品って事です。定価でなんて絶対に買えないのだ、エッヘン(又涙)。
 ダウンも劣化する。春山でさえ寒く感じる様になって来た。多分(いや、絶対)もう替え時なのだろう。何せ三十五年間使ってるんだから。
 でもですよ、思い切り張り込んで新品のシェラフを購入したって、冬山で幕営なんてできるのけえ? もう無いよなあ、良くて小屋泊まりだろう。春山だってあと何回行けるのかなあ。十回は無理だべさ。
 そう考えると新品を、とは思えない。少々の寒さは耐え忍んで、古いシェラフで夢でも見ましょう。
 では本当の夢。三十代、四十代に戻って、キスリングを背に、思うが侭に山を歩く事。ヨタヨタせずにスタスタと歩く事。荷物が苦で無く、何でも無い事。
 結局は初っ端に戻りましたなあ(又々涙)。当時は、重荷を背負って平気で歩く事が普通としか思えず、人とは追い抜くものだとさえ思って居たのだ。知らなかったのだ、今日の日が来る事を。人とは自分を追い抜いていくものだ、と言う日の事を。
 夢、なんて高級な話では無かったですなあ。昔は楽だったから戻りたい、と言ってるだけで有る。何と後ろ向きな、と呆れます。
でも、昔は昔、今は今。今の自分が本当の自分だ。どれ、本当の自分と気長に付き合うと致しましょう。 仕方無いとはこの事。 (この章終わり)

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