2019年5月15日水曜日

休題 その二百五十二



 谷川岳でオーバーミトンを風に飛ばされてしまって、お別れとなったとは書いた。しかも一番新品の奴だったとも。オーバーミトンとは言うものの、グローブと呼んだ方が正しいかも知れない。五本指なのだ。
 オーバーミトンを最初に買ったのは十代の時だから、五十年以上前になる。革製のごつい品物で、無闇と大きかった。そんなもんは使用する機会もなくて終わった。
 次に買ったのは、初めてNに冬山へ連れられて行った時だから、三十歳だった。四十一年前の話ですなあ。ナイロン製の、親指だけ付いていてあとはひとまとめの物だった。結構長くてヤッケの上迄引っ張るのに苦労した。
 次が五十代の時で、これは親指と人差し指が付いていた。長さもやや短くなっていた。材質は矢張りナイロンだった。もうゴアが主流だっただろうが、多分高価だったのでそれを買ったのだろう。あたしのこった、きっとそんなとこだろう。
 そして二年前オーバーミトンを購入した。これを風にさらわれたのだ。五本指のグローブだ。短くて、普通のグローブ感覚で使用できる。ゴア製なのは勿論だ。
 こう書いていると如何に登山用具が使い易くなっているかが分かる。半世紀前には冬山用品とは極めて特殊な物だった。今では町でも使える感覚なのだ。そして機能的にはごついザッツ冬山を凌駕している。飛ばしたグローブも年末の赤岳で有効性を確かめてある。
 まあ、街を歩いてると山用のシャツやジャケットを、若者は普段着にしているのを良く見かける。若者ばかりじゃない。Yだってキャラバンのゴア靴を履いてのーしフェースのシャツとズボンを街着にしている。この侭山に行けるよと笑っている。
 オーバーミトンだが、失くしたと思っているのは嫌なので、直ぐに購入した。一寸と質は落ちるが財布の限界内で済ましました。

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