2019年4月28日日曜日

山の報告です その八十九




 遅れるYも気になるが、前方がストンと落ちて見える箇所が有って、それも偉く気になる。其処へ着くと少々急ではあるが、下れるのでほっとする。
 写真はその下った尾根。真ん中位のピークが矢場の頭です。
 Yは踏み抜いているうちに右膝を捻った様だ。彼は両膝共に古傷を抱えている。ひどく捻ったのだ。Yは無闇と丈夫だから軽い捻挫(!)で済んだが、普通人なら大怪我だっただろう。その古傷が痛み出したと言う。
 こりゃマズイ。とことんマズイ。もうYはふらふら、バランスも怪しくなっちまってる上に膝の痛み!
 悪い事は友達連れてやって来るってえけど、本当だ。尾根が痩せて来て、雪稜のアップダウン、雪庇のおまけつきって所にやって来てしまったのだ。うーん、嬉しぃ。。。。
私「Y、今日の核心部だ。注意して行くぞ」
Y「う、う」
私「俺が思いっ切り踏んで行くからその通りに来るんだ」
Y「う、う」
 こんなとこで変に踏み抜いたりバランスを崩したりしたら、一発でハイさようなら。雪山は掛け値なしで素晴らしいけど、こういうヤバイ一面も、否応なしの付物なのだ。
 一生懸命勢いをつけて雪を踏んで行きましたです。それでもYは二度程踏み抜いたのだから、17Kgの差とは大きいものですなあ。唯の踏み抜きだったから良いけどね。
 危険地帯は突破したがYには歩いて貰わねばならない。矢場ノ頭の手前の1683mピ―ク迄は頑張ってね。テントを張れるのはそこしかない。
 Yは可哀そうに呻き乍ら下っている。くたびれて辛いのと、膝が痛んで辛いのがゴッチャになったのだろう。ピークに着いた時のYは、荒い息で呻く有様。早速雪を蹴って幕営場所を整える。Yはフラフラして余り役に立たない。良いのだ、こんな時はあたしがやるから。思わぬ所で二泊目となった。(続)

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