2019年4月25日木曜日

山の報告です その八十八



 谷川岳迄はひたすら雪を行く。アイゼンが心地良く効く。肩の小屋を左手に見乍ら登り続けると、トマノ耳に着いた。普段の春なら岩を踏んで立つのだが、唯々雪である。隣のオキノ耳も真っ白だ。
 写真はその オキノ耳、左に一ノ倉岳となだらかに続く茂倉岳です。
 先ずは順調に来た。一旦下ってオキノ耳は寄らずに一ノ倉岳を目指す。何時もなら悩まされる藪は雪の下なので楽である。その代わりにトラバースが続くのだが、これは仕方無い。稜線の向こうはマチガ沢、一ノ倉沢なので壮絶な絶壁である。稜線なんぞ危なくて歩けやしない。雪庇が出てるに決まってるだで。
 Yはトラバースが嫌いだ。まあ、好きな人間は殆どいないと思うけどねw 歳と共に苦手意識も強まった様だ。このトラバースで大分消耗したらしい。
 鞍部で休憩してからの一ノ倉岳の登りで偉く苦労している。特に急な直登に悩む様子だ。勿論登山道とは全く無関係に雪を登るのだから、変則的な登り方にならざるを得ない。五月なら結構夏道も出ていて、或る程度拾い乍ら行けるのだが、今回はそれは全く無い。
 一ノ倉岳に登り着いた時のYは息も荒く、やっと着いたと言う感じ。それでも雄大な展望は素晴らしいの一語である。雄大過ぎてどれがどれやら分からなくなる始末。
 隣の茂倉岳へはなだらかな曲線で着ける筈だったが、矢張りYにはこたえちまったぜ。でも此処まで来りゃあ、今日の幕営予定地の矢場ノ頭は茂倉尾根の下の方に見えている。地図上で五十五分の下りさ、やったね♪
 処がどっこい、そうは問屋が卸さなかったですよ。雪を踏んで下って行けば良いだけの話だが、Yは体重があたしより17Kg多い。それに20Kg近い荷を背負っている。従って雪を踏み抜くのだ。あたしの五倍は踏み抜く。深い時は腿迄入る。下手すると両脚踏み抜く。引き抜くのがどりゃー苦労である。見る見る消耗しようとは、神ならぬ身の知るよしもなし、であった。(続)

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